第3話

 良二は串カツ屋「ふくろう」で怪物たちと再び対峙し、逃げるわけにはいかないと決意を固めていました。しかし、怪物たちが襲いかかろうとした瞬間、突然店の扉が勢いよく開き、数人の屈強な男たちが現れました。彼らは「**ゾンビ撲滅隊**」と呼ばれる特殊部隊で、リーダーの**岩成**を中心に、怪物退治のプロとして活動している集団でした。


「お前ら、下がってろ!」岩成は冷たい目で怪物たちを見据え、良二に命じました。良二はその場で固まりましたが、何かを感じ取り、素直に指示に従います。ゾンビ撲滅隊はすぐに戦闘態勢に入り、次々と怪物たちに襲いかかります。隊員たちは高度な武器を駆使し、見事な連携でアスワングや赤い目の鬼を次々に倒していきました。


 だが、事態はそれだけでは終わらなかった。倒したはずの怪物たちが突然変異し、より恐ろしい形態へと進化したのです。猟奇的な姿へと変わり、残虐な方法で隊員たちを襲い始めました。その様子は、鬼畜とも言えるほど残忍で、良二はその光景に圧倒されてしまいます。


 串カツ屋の厨房の中では、血しぶきが飛び交い、悲鳴が響き渡る中、岩成は冷静に指示を出し、戦況を何とか掌握しようとします。だが、次々にゾンビ撲滅隊のメンバーが倒れていく中で、**矢島**という名の隊員が登場します。矢島は、かつて怪物退治のエースとして名を馳せた伝説の男でしたが、今はどこか異常な一面を持つ男でもありました。


 矢島は戦闘中にもかかわらず、自分を追い詰める怪物たちに対して、どこか**マゾ**的な快感を感じているかのような表情を浮かべ、さらなる危険に身を投じることに躊躇がありませんでした。彼はその狂気的な闘志で、怪物たちに立ち向かいながらも、自らの欲望を抑えきれずに攻撃を繰り出していきます。


 良二はその光景に戦慄しながらも、自らも何か行動を起こさねばならないと感じ、岩成の助言に従って背後から怪物に近づきます。串カツの串を武器に手に取り、敵に向かって力強く突き刺すのです。矢島もその様子に気づき、良二に笑みを見せます。


「いいぞ、そいつをぶちのめせ!」


 良二は初めて怪物に反撃し、少しずつ戦い方を学んでいきます。しかし、これが終わりではなく、さらなる強敵が迫っていることに気づいた彼は、仲間たちと共に大阪の街で怪物たちとの戦いを続ける覚悟を新たにしました。


 青年編

 明智良二は冷たい冬の朝、朝日が昇り始めた空の下で、自衛隊の航空隊に入隊するために、厳しい顔つきで歩いていた。子供の頃から空に憧れ、戦闘機を操縦することが夢だった。しかし、彼の入隊理由は単なる憧れだけではなかった。彼には過去の復讐心があった。


 数年前、明智は家族を事故で失った。その事故には不可解な点が多く、ただの偶然ではないという疑念が彼の心に深く刻まれていた。事故の背後に何か大きな陰謀があると感じた明智は、その真相を探るために自衛隊へと進む道を選んだ。軍の内情に近づくことで、自分の家族を襲った闇を暴く手がかりを掴むつもりだった。


 航空隊の基地は広大で、整然とした格納庫に最新鋭の戦闘機が並んでいる。明智は、訓練機に向かって足を進めた。これから始まる過酷な訓練が、彼の体力と精神力を試すものになることは容易に想像できたが、明智はどんな試練も受け入れる覚悟があった。


 最初の数週間は基礎訓練だった。体力を鍛え、チームワークを学び、軍規を叩き込まれる。毎朝5時に起床し、重い装備を背負っての長距離マラソンや厳しい体力テストが日課となった。同期の兵士たちは次々に脱落していったが、明智は決して弱音を吐かなかった。彼の心の奥底には、失った家族への復讐という炎が燃え続けていたからだ。


 数ヶ月後、明智はついに初めて戦闘機のコクピットに座る機会を得た。整備士が機体をチェックし、整然とした指示を出す音が基地に響く。彼の目の前には最新鋭のコントロールパネルが広がり、手をかけた操縦桿は、今にも空へと羽ばたく準備が整っているようだった。


「いよいよだな…」明智は低くつぶやいた。


 彼の指導教官である田辺一佐が無線で指示を出す。「明智二等空尉、離陸準備完了。初飛行の準備はいいか?」


「はい、問題ありません」


 エンジンの轟音が鳴り響く中、明智はスロットルを押し込み、機体が滑走路を加速し始めた。彼の視界に広がるのは青い空と大地の広がり。風を切る感覚が彼の体を包み、やがて機体はふわりと浮き上がった。空中に舞い上がるその瞬間、明智の心に一瞬の安堵が訪れた。


 だが、その背後に潜む復讐の念が消えることはなかった。彼の調査は着実に進んでおり、家族の事故には自衛隊内部に関与している人物がいるという確証を得つつあった。明智はこの空の世界で、自らの力を蓄え、真実を暴くための機会を待っていた。


 そして、ある日、明智の前に一つの情報がもたらされる。自衛隊内の高官が不正に絡む陰謀が浮上し、彼の家族の事故と関連があるという噂だった。その高官の名は…**加藤正紀**、航空隊の上層部にいる人物だった。彼がすべての鍵を握っている。


 明智は、自らの復讐を果たすため、冷静さを保ちながらも着実に加藤に接近していく。しかし、その過程で彼は自衛隊内の大きな闇と向き合うことになり、軍と国家の間に広がる危険な陰謀の存在を知ることとなる。


 この先、明智は正義と復讐の間で葛藤しながら、どのような道を歩んでいくのだろうか。そして、彼が最後に選ぶ道とは──。


 明智良二は、大阪の街を歩きながら、過去の自分と向き合っていた。かつて、彼はこの街で失われた真実を追い続けたが、今ではその影を感じることさえ難しくなっていた。彼の足は自然と鶴橋コリアンタウンに向かい、香ばしい焼肉の匂いが彼を包み込む。「二度漬け禁止」と書かれた看板に目をやりながら、彼はどこか懐かしい気持ちを抱いていた。


南船場を通り、天神橋筋へと足を運ぶ。道端では「かんにんペーパー」と書かれた小さな看板が風に揺れている。彼は「グリコのべっこう飴」を口にしながら、幼い頃にこの飴を噛みしめた記憶を思い出した。その甘さと共に、大阪の風情が彼の中に蘇ってくる。


心斎橋を越えると、「くいだおれ太郎アトラクションストラップ」が飾られた店先が目に入る。観光客たちがカメラを構え、賑やかな光景が広がっている。彼は人混みを避け、ときの広場へと歩みを進めた。静かな広場の中、時間の流れがゆっくりと感じられ、HEP FIVEの観覧車が遠くに見える。


やがて、彼は「酒場やまと」に立ち寄り、カウンターで「インデアンカレー」を注文する。独特の甘さと辛さが口の中で混ざり合い、体に染み込んでいく。「春駒寿司」も有名だが、今日はその先の目的地、大阪城天守閣を目指している。途中、「蛸石」や「桜門」を眺めながら、大阪城の歴史を肌で感じる。


大阪市立住まいのミュージアムでは、大阪の庶民の暮らしが展示されており、明智は昭和時代の風景を見ながら、過去の自分を見つめ直す時間を得た。そこからさらに「タコのモニュメント」を横目に、なんばパークスへと向かう。懐かしの「スマートボール」が並ぶ「ジャンジャン横丁」を歩き、今宮戎神社へと足を運ぶ。賑やかな祭りの準備が進んでおり、街は活気に満ちている。


天王寺公園を抜けると、「コナモンミュージアム」でたこ焼きの歴史に触れ、かつてこの土地で食べた「にぬき」の味がよみがえってくる。さらに足を伸ばして「海遊館」へ向かうと、大きな魚たちが悠然と泳ぐ姿に癒される。隣には、厳かな「安倍晴明神社」が佇み、明智はその不思議な空気に包まれた。


次に彼が目指したのは、太陽の塔。1970年の大阪万博のシンボルであり、その異形のデザインが、どこか明智の心に引っかかるものを感じさせた。彼は「ハードロックカフェ」で短い休憩を取り、「浜寺公園」や「ザ・リッツ・カールトン」の豪華な風景を楽しみながら、心斎橋のまっちゃまちに戻る。


ふと、彼は肌に「さぶいぼ」を感じた。冷たい風が吹き抜け、どこか不穏な予感が漂う。「ミンチカツ」の香ばしい匂いが漂う屋台の横を通りながら、彼の脳裏にはある怪物の姿が浮かんだ。それは、グランジュ――羊のような姿を持ちながら、恐るべき力を秘めた怪物だった。明智は深呼吸し、その足音が近づいてくるのを感じながら、ゆっくりと大阪の夜に溶け込んでいった。


 明智良二が大阪の街を離れ、香港のハッピーヴァリー競馬場にやってきたのは、過去の事件が彼を再び異国の地へと導いたからだった。競馬場の華やかな雰囲気と熱気に包まれる中、彼は不安感を抱えながらもこの場所に足を踏み入れた。


競馬場には、色とりどりの馬装や騎手たちの威勢のいい声が響いていた。だが、その喧騒の中で、明智は奇妙な感覚を覚えた。まるでどこかで視線を感じるような、異様な存在感が漂っていた。ふと、彼の視線が一人の騎手に引き寄せられた。その騎手は、他の騎手たちとは違って、どこか不自然な様子をしていた。


その騎手の姿はどこか幽霊じみており、薄暗い影のように周囲に溶け込んでいた。明智がその騎手をじっと見つめると、周りの人々には気づかれないのに、彼だけがその姿をしっかりと捉えていた。


 騎手の霊は、過去にこの競馬場で亡くなったとされる、事故に巻き込まれて命を落とした人物のようだった。彼の顔には無念さと悲しみが浮かび、時折、競馬場の空気が冷たく感じられる。霊は、明智に向かって一瞬だけ目を合わせ、何かを訴えかけるような仕草を見せた。


 明智はその姿を追い、霊が消える方向へと向かう。競馬場の裏手にある古びた倉庫にたどり着くと、霊の姿が再び現れ、明智に近づいてきた。そこには、かつての競馬場の裏事情や、事故に至るまでの詳細が隠されているかもしれないと思った。霊は、明智に対して手を差し伸べるような動作をし、彼を倉庫の中へと誘導する。


 倉庫の中はほとんど使われていない様子で、埃が積もり、古い競馬用具やポスターが散乱していた。明智は霊の指示に従って、倉庫の隅に置かれた古い箱を開けると、そこには事故の詳細を記録した古びた書類や、競馬場で使われていた当時の道具が納められていた。


 霊は再び現れ、明智に向かって微かに微笑み、無言でその書類の中に指を指した。明智はその指示に従い、書類を調べるうちに、事故の背後に潜む真実に気づき始めた。競馬場での事故は、単なる不運やミスではなく、何者かによる意図的なものだったのだ。


 明智は、この謎を解き明かすことで霊の無念を晴らし、また一つの事件を解決する決意を固めた。霊の存在が彼に示唆するこの暗い過去を暴き、真実を明らかにすることで、競馬場の平和を取り戻そうと心に誓った。

 


 明智良二が香港のサンティカ跡地に到着すると、その場の不気味な静けさと廃墟の雰囲気に包まれていた。サンティカはかつて繁華なナイトクラブであったが、今では閉鎖され、朽ち果てた建物がその面影を残しているだけだった。


 霊的な感覚が鋭い明智は、すぐにこの場所に異常な気配を感じ取った。何かがこの廃墟に息づいているような感覚があった。彼が周囲を歩き回っていると、突然、古びたタクシーが一台、音もなく彼の前に現れた。


 そのタクシーは一見普通の車に見えるが、明智にはそれがただのタクシーではないことがわかった。車体は古び、塗装は剥がれ、窓ガラスは曇っていて、その全体が不気味なオーラを放っていた。タクシーの中からは、目に見えないはずの運転手が運転席に座っている姿が薄く浮かび上がっていた。


 明智がそのタクシーに近づくと、突然、運転席から運転手の幽霊が現れた。その幽霊は、タクシーの運転席に座ったまま、まるで時代を超えているかのように無表情で、彼に向かって話しかけてきた。「ここで何をしている?」「目的地を教えてくれ」明智は、その幽霊の声に不安を感じながらも、冷静に対応しようとした。


「あなたがここに現れる理由を知りたいだけです」明智は答えた。「このタクシーは何か特別な意味があるのでしょうか?」


 幽霊の運転手は一瞬、しばらく黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。「サンティカの過去には、終わらせるべき未練が残っている。私の運転するタクシーも、その一部だ」幽霊の声には深い悲しみが込められていた。


 タクシーの運転手が語る話によれば、かつてサンティカで起きた悲劇的な事故が、タクシーの運転手の運命を変えてしまったという。タクシーはその事故の現場から逃げられず、運転手は命を落とした。その魂は未だに解放されることなく、この地に縛られているのだ。


明智はその話を聞きながら、運転手の霊が何を求めているのかを理解し始めた。このタクシーが抱える未練や悲しみを解放することで、霊の魂が安らかに成仏できるのではないかと考えた。彼はその決意を固め、幽霊の運転手に何をすればよいかを尋ねた。


「私を終わらせるためには、サンティカで起きた真実を明らかにしなければならない」運転手の霊は言った。「それが成し遂げられれば、私はここから解放されるだろう」


明智はその言葉を胸に、サンティカでの事故の真相を突き止めるために再び調査を始める決意をした。タクシーの幽霊が求める安らぎをもたらすため、彼は過去の闇に立ち向かう覚悟を決めた。

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