〜過去編ボーイスカウト❻〜
マリンが交換した船、大砲も無かったので企画が違うのか、其処んところをかなり無理して海賊船に改造した結果、操舵もかなり手間取ってからに、先方よりかなり遅れた迄はまあまあ良いが、何やら言い争いの状況に発展する程に、海岸沿いの事態は困惑していた。
カ「Dissolution.《解散よ。》」
ぐ「I have been looking forward to do so.《望むところよ。》」
カ「In the first place,I have disliked your abnormal ability.《そもそもあんたのその能力が気に食わないのよ。》」
ぐ「I don't wanted this abilitys.《私だってこんな能力欲しく無かったわよ。》」
「So,I want better to surfe forever.《そんなんなら、一生サーフィンしてた方がマシよ。》」
カ「Well,you don't get on my ship.《そう、なら私の船に乗らないで頂戴。》」
ぐ「We are severanced.《絶交よ。》」
既に何やら解散の危機…だが、ここで思わぬ事態が向こうからやって来た。
アメリア・ワトソン「It's a happening.Ina changed a monster.」
「Inaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」
其処にあったのは、島の木々を見上げる程の黒い体躯と八本もの凄まじく太い触手が、融合したかと思えば、細くアメンボの様な脚、巨大であるが故に其れが全てを支える浮遊を齎す形と明らかになるが、其の上に細く理想的な足、太ももが露わになり、淫部を重ねず、これまた理想的な腹周りの黒く時折鈍い白さが斜めに縞模様に強調される体格、外殻で、霧の中から現れたる角と翼が融合し、これまた其れが八本揃い、怒髪天に昇るかの様に巨体を浮かせている姿が。正に神話の真体だった
マ「え?」
帆と錨を下ろし、これからまさに上陸しようとして居た矢先の事、黒く鈍い爆発が島の山岳の中腹からしたかと思いきや、其の黒は灰色の煙を通って徐々に白の霧に変わって行き、其の巨体を露わにしたる。
マ「た、大砲用意!9時の方角に全部揃えろ!」
一味「アイ、アイ!」
マリンは船端に手を付く。
「何じゃこれ…」
状況に着いて行けないマリンは思わず心中を吐露する。逃げ探る様に海面の方に助けを求めるも、丹で何とか堪える。
アメリア・ワトソン「She opened the Pandora box!」
余りの事に一瞬困惑したのか、マリンの服の端を摘み、るしあはこう言った。
る「…マリン、大丈夫?」
るしあの方がしっかりしてる。ただ其の事実だけでマリンは戦えた。
マ「大丈夫。下がってて。」
一度何かを思案する様にるしあは山の中腹から下りて来る怪物の方を見遣ると、素直に指示に従った。
「Inaaaaaaaa」
山から海岸まで聞こえて来る咆哮、とんでも無い。マリンは、今からでも遅く無いと、逃げる準備と、入れる保険を探した。
勿論、そんなのは無い。ただ無差別に木々がなぎ倒されて行く光景に、大砲の照準を先んじて合わせるしか無かった。
然して其の悪魔は天使でもあった。八本の角翼は尾と接合、融合し、天使の輪、背徳の大輪を鈍く暗い後光に光臨した。
其の角翼尾は、頭上に大小の天輪を、背中から大きく翼を広げる様に二つの徳輪を、其の間に滑らかな歯車を想わせる小さな天輪と同規模の其れが四つ接続してあった。
其々が色違いになり、超高周波を放ちながら、木々がその体に触れる事なく倒されて行く。
まるで自ら道を開けるかの様に、粉砕され、細かい薪にしかならない森林が哀れだった。
音の無い高く燻る様な圧が、怪物が迫る。
流石に言い争いを止めて一旦共闘を持ち出す死神とサメガキ。
大きな鎌を木々が霞む程、巨大にし、自らも闇色の装束、髑髏の死神の出で立ちになり、巨鎌に回転を掛けぶん投げる死神・カリオペ。
怪物と同じ色合いの竜巻と渦巻きを起こし、木々を根刮ぎ吹き飛ばしながら怪物に迫るサメガキ・がうるぐら。
「「Ina!!」」
伊那を呼び、ムッと、声が重なった事に顔を合わせては又、知らん振りをする両者。
マリンは、ぐらが超高周波を帳消しにし、カリオペが傷を付け怯んでいる今しか無いと、踏んだ。
「撃てーー!!」
マリンの指示に従って一味が大砲に火を入れる。
ドン ドン ドン ドドン ドン ドドドン ドン ドン ドン ドドン
船が大きく傾き、砲弾が宙に舞う。対象の肉体が巨大である為か、全弾、華麗に命中し、外殻に損傷ないし、炭を服に当てたかの様に、すすを付けた。
イ「Ina?」
「否〜〜〜〜!!」
周囲が、輪から、瞬時に光に包まれる。
まるで牛が尾っぽで蝿を払う様に、数多くの光弾が八つの輪から発生し、曲線を描いて大砲とマリンを狙った。
マ「拙っ…」
着弾の刹那、得体の知れない色取り取りの炎が船をカバーし、護った。小鳥遊キアラ、其の巨大な不死鳥の姿、其の翼の力である。
元より大砲頼みのマリンとしては、効かなかったという事実が咄嗟に受け容れられなかった。
(あ…れ?大砲が効いてない?何で?どうして、あんなに細っこい見た目の癖に、どれ程頑丈なんだ。)
顔を上げて直様状況を把握する。
しかし、事は神話の規模の争いだった。
甲高い音を立て疾駆する巨大な炎の鳥、そして、空いた紫を基調とした箱を持って来るアメリア。
死神と神獣は三者三様の風靡を醸し出しながら、SCPNo.0、「始まりにして終わり」、
光は全てを包み込み、直後の光弾の規模を太陽の様に報せる。
光が閉じ、島全体と同じだけの大きさの虹色の光弾が、島を、周囲を土の色も木の深緑も関係なくステンドグラスの窓から入る光の様に照らし出す。
光弾は三つに分離すると、三人の女性達に迫った。
着弾の刹那、女性達の顔が歪む。虹が三様の形態を全て塗り潰し、其の直後に来た白と黒の巨大な魔弾が諸にカリオペ、キアラ、ぐらに衝突する。
轟音と爆音と共に、周囲の木々全てが薙ぎ倒され、島は灰色の沈黙を帯びた。
ああこれはもうるしあを連れて泳いで逃げるしか無いな。泳ぎが得意なスタイルでは無いのは、離れ小島の間を泳いでいる時に何度も溺れかかったので分かっているけど。
あの時ももう少し待てば近くの漁師か国の警備の者に助けて貰えて、大切な人の大切な人を殺さなくても良かったのにと、なんて事無かった日に考えては夢に出ては、今日までこの始末。
幾らでも手はあったのにと、接客業時代を思い出す。あの国に又戻れたら良いな…そんな気分に浸る日も2日や3日では足り無い。今も同じ考えだ。
そうして、こうして過去を振り返る事すら反省して、未来に振り替える用事も無い。
そして現今にて–––––、例の真体は、灰色の景色の中、天国に至るかの様な光の筋とプリズムに生きていた。
ただ見守って居ただけのマリンにはどうする事も出来無い。
近寄って来る巨体を視野に入れておこうと、一歩引こうとした其の矢先、マリンは気付いてしまった。あの娘に今ある特殊な雰囲気的な圧力は無かった。つまり、何処かで力の源となる何かがあった筈。
マリンは探した。そうすると見つかった。衝撃で気絶しているであろう倒れ伏す金髪の女性の近くに、この世のものとは思いたく無い紫色の箱がある事に。
マリンはるしあを置いて一目散に其の箱へ向かった。
果たして其処には、内側に一筆書きで呪文が描かれた空の箱があった。
マ(何だこの呪文。まるで…あっ、確か書道とかで崩し字があるって高校の頃習ったなぁ…行書体だっけな。)
読めるかも知れない…そう思うと、読めて来る気がするマリン。
しかし其れも直ぐに諦めた。全部漢字であったのだ。直ぐに読解するのは無理だった。
其れに、もう既に近付いても何も起こらない空の箱なのだ。
そうこうして居る内に、聖なる怪獣が迫る。
しかし、意外な事に進路上にある訳でも無く、又、此方の事など気にもとめずに、其のまま島を飛行、飛ぶというより泳ぐと言った方が適しているかも知れないが、これが徐々に島の外に迫り、出、離れて行く。
マリンは其の様子を眺めて居た。
そして、島の外に出て行き、海上にて空中を泳いで行く其の後ろ姿は、鑑賞に耽っている女性其の物だった。まるで、倒して来た仲間との思い出を振り返るかの様に。
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