裏山

 ヒュー ガサガサガサ

 

 森の木々が静かに揺れて、草木が音を立てて道を開けて行く。

 

 マ「よいしょっと」

 

 軽々と裏山まで辿り着くと、其処からは街の姿が展望できた。

 

 マリンの船からウサ建の事務所兼作業場、農地に隣接する森。其の奥にある巨大なロボットと離陸管制塔。

 

 その更に奥の方から、怪しげな轟と雷をもって迫る天災––––

 

 マ「良い風だね〜。」

 

 る「うん。とっても良い風だね。」

 

 吹き抜ける風は少しだけ、いつも取りの潮風の匂いがした。

 

 〜同時刻〜

 

 とある街では一人の青女が潮の匂いにつられて海岸まで出て来ていた。先日、ここで銃声と戦争があったとの報告が入ったばかりの海岸で、一人っきりで海の向こうを睨んでいた。

 

 桐生ココ「へぇ…来るのか。」

 

 そんな街の長を除いて、世界は変わり行くのだ。ムーナと呼ばれたウサ建で働く一人の少女と、其処に訪れた二人の少女と共に。世界は、否応無く変わり行くのだ。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る