23.ヒトツギ世界

存在しているのだから もう どうしようもないよ

誰に何と言われようとも 僕は此処に居場所を持つだけ・・・

期待とか背負い切れずに きっと それが僕をこの場所に留めているのさ


今では 僕は僕に存在して欲しくないと思っていて

誰に何と言われようとも ただ共感するだけ・・・

本当に どうしようもないよ

血を流すだけ流して ずっと 泣いている僕に居場所を与えたのはこの僕だから


――今だけは くだらない言い訳を考えずに済みそうだ


指折り 何を数えたのだろう

泣いた回数とか 存在していた日数かもしれないな

それか 指折り 何か数えた回数だろうか 僕にも解らないんだ

首を傾げては世界を傾け 僕の思いのままに世界を操る

とんでもない力でも手に入れた気になって 笑い狂う僕を

呆れた表情で ため息混じりに「こんな事になるなんて」と頭を抱えた僕


期待はずれな生き方で 誰に何を失望させたのだろう

きっと それが僕をこの場所に誘い 此処に居場所を持たせた理由かもしれない

今まで 存在を否定され それを肯定したのは僕自身なのに

足下に滴り落ちたあの血が 僕の目には映っているんだ

泣き止んだ筈なのに まだ 泣いていたんだ


誰に何と言われようとも それで僕自身を傷つけない様に

共感していただけなのに ただ肯定していただけなのに

どうしようもないのが 本当は僕が存在している事だって気付かない様に

僕は 僕自身に居場所を与えた筈だったんだと

血を流し終えた僕は 指折れず 指折れない回数も数えられなくなった


――今から くだらない言い訳を考え始めなければ・・・


あぁ 時間と言うものは思ったより ずっと早く流れているらしい

グルグルと巡る輪廻の果てに 辿り着いた先に待っていたのは

地に染み付いて 辺りを真っ赤に染めたあの血だったんだ

まだ 温かいそれに触れて 僕はいつかの時の様に 指折り 始めた

この場所に何度目かの到着を記念して 指折れなかった回数を 指折り 数えた


くだらない言い訳 すべての言い訳

――誰かの所為

それは とんでもない力を捨て去った 嘆き悲しむ僕の言い訳

怯えた表情で 苦し紛れに「こんな事になるなんて」と頭を垂らした次の僕

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る