第2話

午後五時を過ぎてもまだ明るい夏の空。

どこかの家の風鈴の音が聞こえてくる。

太陽が沈み始めるこの時間が好きだ。

遠くで家に帰る子供達の声も聞こえて、夏休み期間は昼も元気な声が聞こえていたなと思い返す。

シャワーを浴びて髪も乾かさないままベランダで足を投げ出して、まだ作っている麦茶を飲みながら涼む。

蝉の声は日中でも聞くか聞かないかという程に減って、代わりに秋の虫が鳴き始めている。

梅雨が明けて夏が来る頃はあんなに嫌だったのに、季節はあっという間に過ぎ去ってしまう。

これからまた秋も瞬く間に過ぎて冬が来るのだろう。

来年は暑さに負けず、夏祭りでも行ってみようか。

なんて毎年思うだけで結局日も合わず、行けず終いなのだけれど。

暑さでやられてしまうので、毎年夏を楽しむ暇がない。

このまま暑くなり続けるのだろうか。

幼い頃のような夏をまた過ごしたい。

目にするもの全てキラキラとしていて、暑くても毎日楽しかった。

つい懐かしさに浸ってしまった。

明日は休みだ。

せっかくだからどこかへ出かけてみよう。

あの頃のようにはいかないけれど、何かを楽しんでみよう。

そう決めて麦茶を飲み干した。

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