小さな物語集

瑚夏

第1話

深夜二時を迎えようとしている。

明日は仕事なのに眠れそうもない。

一日寝ていたわけではなく、掃除に買い物に動き回ったから疲れているはずなのに、眠気が一向に来ない。

寝る前に飲んだコーヒーが悪かったかと後悔してみたり。

早く起きなくてはいけないのに、そんな日に限って眠れないものだ。

諦めて起きてしまおうかとも思うけれど、きっと直前に寝落ちて寝坊するのがオチだ。

寝返りを打ったり、起き上がってみたり、スマホで落ち着く音楽を流してみたりするけれどなんの効果もない。

ごろごろしながら目を閉じて、ふと目が開いて時間を確認すれば30分眠れないまま過ぎていたりして。

寝付きはいいはずなのに仕事や何か予定がある前夜の寝付きの悪さには嫌になる。

眠らなければと思う程どんどん目は冴えていく。

温かい飲み物を飲んでみようか。

いや、また時間を無駄にしてしまいそうだ。

考えれば考える程時間が過ぎて……気付けば三時半すら過ぎていた。

今日は寝不足確定で諦めよう。

私は起き上がり寝る前に読んでいた本の続きを読む事にした。

どうせ眠れないのだ。

ベッドから出て少し違う事をしてみよう。

眠くなるかもしれない。

そう期待してハーブティーを淹れてタイマーで時間は決めて、読書を始めたのだった。

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