腰が痛い。介護はみんなそれで悩むらしい。

明鏡止水

第1話

それはそれは、なんかこう、誰かしらのトイレ介助をしていた頃でございます。


腰に氷を砕いたような、バキッという、破壊。

痛みではないが何か電気が走ってしまったかのような、感覚が走ったのです。


その日から、受難の日々は始まりました。


初めの難儀なことはですね。


布団から朝、腰が痛くて起き上がれず、あぐらをかいて回転する勢いでくるんと起き上がる。またはごろんと寝返りをうつのですが、


「うっ!」


うつ伏せもキツイ。背筋の下、お尻の辺りがズキズキです。


「ううううう……」


なんとなくダンゴムシさんになって起き上がる人間。


次。お着替え。


立って片足あげておパンツやズボンが、履けない。


痛いかどうかは微妙なところですが、とりあえず安定感が無くて、ずっこけそうになるんです。


仕方ないので部屋では壁や扉に手を置いて体を支え、お風呂で着替える時は横にある洗濯機に片手を突き出して捕まり、ズボンを履き履きしましたネ。


「あたたたたた……」


接骨院には駆け込み済み。

しかし毎日のように仕事はある。

なかなか良くならない。

痛みが引く頃にまた酷使。

接骨院にかかるのも馬鹿馬鹿しくなってきます。


とりあえずは教えられたストレッチで乗り越える。


リビングで座椅子に座ろうとしましたが腰に力が入らず後ろに倒れ込みパイプ製のテーブルに頭をぶつける。それでも痛いのは、腰。


「あいたたたたたっ……」


いたたたた


痛ぅ……っ


あたたた


あー……


ううっ


「うっるせえんだヨッ!! 湿布ちゃんと貼ったのかよ!!」


リビングで寝ていた父、唸る。


だまれ、背中に容易に湿布貼れるか。

つか痛みの感想くらい言わせろ。


でもここで揉めたら車検一気に払えって言われるかも。


とりあえず、介護、必ず腰をやっちまう時がくるらしい。


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腰が痛い。介護はみんなそれで悩むらしい。 明鏡止水 @miuraharuma30

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