お帰りなさい

天川裕司

お帰りなさい

タイトル:お帰りなさい


「お帰りなさい」

「やぁただいま」


「今日もお仕事お疲れ様。大変だったでしょ?」

「いやぁ別に♪お前と俺との生活、子供できたら子供との生活を支えるためなんだから、当たり前だよ」


「ほんとにあなたと結婚してよかった♪これからもよろしくね」

「おいおい、なんだよ急に改まってw気持ち悪いぞ♪」

「うふふ♪」


今日も変わらぬ日常風景。

俺達は本当に幸せだ。

何不自由ない生活ができて、

子供もそのうち産まれる予定にしていて、

これで生涯を穏やかに終える事ができたら満足だ。


妻の佳代子はいつも俺の帰りを待っていて、

夜遅くなってもちゃんと起きて、

風呂や飯の支度をしてくれる。

本当にできた妻だ。


でも俺は、そんな妻を裏切ったんだ。


優子「ねぇ浩二さん、コーヒーは砂糖一杯でよかったのよね?」

「ああ、ありがとう」


会社の同僚・優子と浮気をしていた。

しかも浮気の場所は、よりによって俺の部屋。

妻が居ない時を見計らって優子を呼び寄せ、

妻と仲睦まじい生活をしていたこの部屋で

俺は浮気を繰り返していた。


1人になった時…

「はぁ…俺はなんて罪作りな人間なんだ…。妻とあんなに将来を約束し合い、愛し合って、子供ができることまで2人で夢見ていたのに…」

そんなふうにどうしても落ち込んでしまう。


当たり前の事ながら、

俺はこの浮気をやっぱりやめられなかった。


そんなある日の夜。

「…ねぇあなた、誰かここに来なかった?」

「え?誰かって」

「…ううん、なんとなくそんな感じがしたから」

妻がなんとなく勘付き始めた。

これも当たり前の事で、

やっぱりいつまでも隠し通せる事じゃない。


俺の裏切りを知った妻はどうするだろう…?

それを考えるとやはり怖くなる。

妻にどうされるかが怖いんじゃなく、

妻との将来が完全に消え去る事が怖いんだ。


「それが分かっていながら…くそぉ…」

俺は浮気をする病気なんだろうか?

本当に落ち込んでいた。


(後日)


優子「ねぇ浩二さん」

「ん?」

優子「ここに立て掛けてあった写真変えたの?」

「写真?」

優子「ほらこの写真」

「いや変えてないよ?…あれ?」


妻と2人で寄り添っている

写真を俺はそこに立て掛けていたが、

俺だけが写り、妻の姿は消えていた。


優子はもう俺たちのことを知っている。

いつもの様に手を合わせようとした時、

写真が変わっていることに気づいたのだ。

しかしその写真は変わっていない。


「……あいつ、どこ行ったんだ…」

何となく嫌な予感がした。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=lxTVm9AeZqc&t=5s

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お帰りなさい 天川裕司 @tenkawayuji

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