第2話 妻と飛んだ特攻機 谷藤徹夫中尉

 神州不滅特別攻撃隊。終戦直後の満州。ソ連は日ソ中立条約を破棄、満州へと侵攻を開始。日本人居留地の大虐殺が行われていた。逃げ回る邦人をソ連兵が機関銃で撃ち殺し、戦車でひきころしていたのを確認。


ソ連軍の進軍が一時的に止まれば、日本人居留民の逃避の時間を少しでも稼げるだろうと、軍の降伏命令に背いて、ソ連軍への特攻を決意。

爆弾等の装備はなく残された唯一の方法は体当たりのみ。


8月19日早朝、見送りの中から白いワンピース姿の女性が谷藤中尉の飛行機に乗り込む。妻、朝子であった。


谷藤中尉の他10名がソ連の戦車群と刺し違えると語って、出撃した。この特攻隊の記録は日ソ双方、一行の記述もないという。


軍紀違反であったため、戦後政府の正式な調査もおこなわれず、幻の特攻隊とされ、靖国神社への合祀もおこなわれなかった。その後関係者たちの尽力により、昭和32年、戦没者として認められ、靖国神社も彼らを合祀した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る