第8話

「あ、ねえ。こんなのはどう?」


 太った男は、みんなに青色のフィールドを展開した。

 そのフィールドは、みんなを音もなく優しく包んでいった。 


 途端にゆっくりと、倉庫へ通じる扉が開いて、テロリスト集団の二人が、そっと入って来た。銃口は今のところ倉庫を向いていない。テロリスト集団の二人は、中の様子を探るために、銃を下へ向けて入ってきていた。


「There's no one there?」

(誰もいないぞ?)

「Are you sure you thought you heard a scream?」

(確かにはしゃぎ声がしたと思ったんだ) 

「we are tired」 

(俺たち疲れてるんだよ)

「Isn't it unreasonable? It was quite a long journey.」

(無理もないか。かなりの長旅だったからな)


 テロリスト集団の二人は、覆面マスクの顔をお互いに見合わせてから、そのまま帰って行った。


 しばらくして、青い色のフィールドが倉庫内一杯を包み、それと同時に、20名のファンと恵美が現れた。


「やったね! ありがと!」


 恵美がみんなにウインクして回る。


「ここにいる21人を、一度に能力で隠しやがったぞ。お前も凄いなあ」

「すげえ!」

「ふぅー、疲れたよ」


 太った男は、この異能の力を風呂敷包みと呼んでいる。

 いわゆる空間などを擬態する能力者だ。


 恵美は大きく息を吸い込んでから、遥かステージがあるはずであろう方向を指差した。


「それじゃ、みんな行こっか! これだけ強いファンさんたちがいるんだもん! 英瑠璃ちゃんと利弧利戸ちゃんを助けるなんて、ちょちょいのちょいよ」


「えーーー!」

「えーー!」

「ここに恵美ちゃんと、ずっといたいよー」


 今までの緊張が嘘みたいに、倉庫の片隅に、一人。キザな男が呑気に突っ立っていた。


「あ、でも。テロリスト集団の方々。皆お疲れのようで、これはチャンスかも知れませんよ」


 そのキザな男が、唐突にアイドルグループSTARZM・4救出作戦を言いだした。

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