死んだ幼馴染の妹と……

岡 あこ

第1話 プロローグ

幼馴染の佐藤 小雪が死んだ。

色が白く、背は少し高く、スタイルの良く、美しい黒い髪の毛を一つに結んだ、美しい人だった。

2つ上の彼女は身体が弱く、よく入院していた。

悲しい気持ちもあったが、まあ覚悟は出来ていた。身体が弱かった彼女が無くなることを予想していたし、だから、僕は前を見て……


……まあ、無理だった。

初恋の幼馴染が死んだのだ。もう、何もする気が起きない。

『私は、君の事好きだけど、絶対に付き合ってあげない。だって、私、君より先に死んじゃうからね。だから、君は幸せになりなさい。』

そう言って笑っていた彼女の横顔を思い出して


「なれるわけないと」

部屋の隅で一人泣いていた。


大学も休学して、ひたすら家に引きこもり現実逃避をしていた。一瞬彼女の元に行くことも考えたがそれは、なんとか踏みとどまっていた。


そんなことで部屋で現実逃避をしていたら1年が経過した。


その日も、同じように一日を無駄にしようとしていた。

ガチャガチャと鍵の音と共にマンションのドアが開いた。それから、散らかった部屋にドタドタという足音が響きその人物は部屋に入ってきた。


その人物は、真っ暗な部屋で座り込んでいる僕を見つけると電気をつけて、無言でこちらを見た。


その人物は、色が白く、背は少し高く、スタイルの良く、美しい黒い髪の毛を一つに結んだ、美しい人で幼馴染そっくりだった。


幼馴染でも、本人と見間違えるほどにそっくりな人物だった。

夢や幻覚を疑ったが、一人だけ彼女をそっくりに真似できる人物を知っていた。

佐藤 唯、彼女の妹だった。


「……どうやってカギを、まあ良いです。何の嫌がらせですか?」

気が付けば、そう言葉にしていた。幼馴染の妹は、わざと小雪に見た目を近づけたのだろう。記憶の中の彼女は、髪の毛を染めており、見た目や服装、雰囲気が全く違ったのだ。


「……姉の代わりにすら私はなれませんか?」


「……」

何を言っている。


「……冗談です。家を追い出されたので、少し居候させてください。掃除とかするので。」

彼女はそう言って笑って見せた。姉の真似をした格好の意味は分からないが、もしかしたら家でその恰好をするように言われていたのかも知れない。


それにしても、

「……カギは」


「お姉ちゃんが亡くなる前に、本当に何かあったらって、頼れば助けてくれるって」


まあ、それは、小雪が二人の為に言ったのかも知れない。もうすぐ彼女が亡くなった22歳になるが、まだかないそうにない、まあそれは、そうか、ただ立ち直れずにうずくまっているのだから。

「……そうですか。では、勝手にしてください。」


「……よろしくお願いいたします。お兄ちゃん。」

死んだ幼馴染の妹がやって来た。

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