テーマ「濃さ」

オタク女子 ふと目が覚めて 離れます 軌跡たどると 濃ゆいひととき

 先月に投稿した、「ステージが 暗転しても 見えるんだ 隠しきれない 内なるひかり」とは、反対の意味を持つものです。

 経緯をご説明しますと、先月書いたものは、ライブを見た瞬間の高揚感を、そのまま出力しました。ですので、とにかく、「凄かった、楽しかった」という感情が色濃く出ています。しかし、数日後、数週間後......と、時間が経過していくうちに、段々と、推し活に対して、違和感を抱くようになりました。

 第一に、「今年は、三回ライブに行ったけど、回数を重ねるうちに、楽しくなくなっているかも?」と感じました。推していた方は、アーティスト活動は副業で、本業は役者なので、アー活に全神経を注げないことは、理解しています。ですが、思い返してみると、所々の粗が目立つのです。「下準備をきちんとすれば......はたまた、セットリストを工夫すれば、もっとミスを防げたように感じるの。」このように、精一杯のパフォーマンスをしてくれる彼の嫌な面ばかりを見てしまうくらいなら、現場には行かない方が良いと判断したため、おそらく今後、ライブ会場に足を運ぶことはないと思います。今まで訪れた際に購入し、コレクションしていた、複数本のペンライトが名残惜しいですが......

 第二に、「出演作に対して、私と彼の間で熱量に差があるのでは?」と気がついたことです。先程も述べた通り、彼の本業は役者です。そして、最近......ここ数ヶ月以内に、彼が出演している、とある作品が完結を迎えました。私は、その作品を知った時期が遅かったので、時間を費やしたオタクではありません。しかし、熱量とお金は、たっぷりと費やしたつもりです。イベントに何度か訪れ、関連グッツも、複数購入しました。そして、役者様方の、作品に関するコメントを紹介している記事や動画を、何回、何十回も視聴しました。ですが、その時に、気がついてしまったのです。他作品と比べて、彼の本作に対する熱量は、低いのかもしれないということに。勿論、私ごときが、彼の本心を完全に理解することは出来ません。しかし、数年間、彼を追いかけて来た身からすると、何となく、察せられてしまう面がありました。本当は、こんなこと、気づきたくありませんでした。気づかなければ良かった、気のせいだと水に流せれば、どれだけ良かったでしょうか。でも......無理でした。

 この件を皮切りに、彼の出演しているどの作品を見たとしても、以前より、彼の演技に対して、注目することが出来なくなりました。本件とは無関係なはずですが、何故か、彼の歌も、あまり聞かなくなりました。加えて、日課のSNSチェックも、頻度が下がっていきました。彼のことが嫌いになったわけではありません。人柄が素晴らしいですし、何より、歌やダンスパフォーマンス、演技の実力があります。業界内での評価も高いです。しかし、もう推しとして見ることは難しく、私が知っている役者兼アーティストの内の一人という認識に変化しました。つまり、過剰に向けていた関心が薄れたのです。

 自分の本心を書いたことで、気持ちの整理がつきました。ここまで読んで下さった読者の皆様、誠にありがとうございました。


※「濃い」がテーマの短歌をあと二首投稿予定です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る