乙女ゲームに転生したモブは愛が重いヒロインたちと王国を滅ぼすようです

量産型勇者

第1話 転生しても瀕死な件

「ーーーー痛い」


そう口に出すだけで鋭い痛みが腹部を襲った。


なぜ痛いか、端的にいうと刺された...それも通り魔にナイフで。


ふと俺を刺したであろう男を見ると、警察官がすでに取り押さえていた。

そして俺にも大きな声で話しかけている....あ、この女性警官可愛い。


思えば危機感がなかった気がする....いや、なくても仕方ないだろう。


一応ここは平和な日本だ。


誰がただ歩いていたらナイフで刺されると予測出来るだろうか?



あーーー痛い



もはや口が動かないほど重症なのに気づいて、頭の中で呟いた。


ーーーーこれ死ぬな、確実に....


自分のことは自分がよくわかると聞くがあれは本当らしい、実際視界がぼやけているし....


26歳、独身、童貞、趣味はなし...強いて言うなら妹が買ってくるゲームを完走することだろうか....まぁ、あれDLC含めて全部俺がお金を出しているのだがーーー


「ーーうっ」


ーーー今のは刺されたことに対する痛みではない....自分で言ってなんだが精神的な痛みだ。



もう諦めて寝よう、いつもとは違い永眠だけど



....そう考え、目を瞑るといつのまにか雨が降っていた。


それに心なしか痛みが悪化した...というかヒリヒリする。


警官の呼び声も止まったしーーーーもしかして諦めた?


気持ちはわかるが酷くない?


手を動かしてみると血が少ないのかあまり動かないのだが、泥のような感触を感じた。


ーーーーーーー泥.....と言うことは土?


ーーーなぜ土?一応俺が倒れた場所は道路の上だったのだが...東京の道路は大抵コンクリートのはずだ。


謎に思い、耳を研ぎ澄ますと誰かの泣き声が近くから聞こえた。


重い目を開けると案の定、俺は倒れているーーーが、先ほどと違うのは少女がいること...それと何人かの男たちが忙しなく動いていたり、声をかけてきている。


いや、誰?というか警官は?


それにビルがないし後ろには洋風の屋敷が見える.....でか


よく見ると少女も....白と青を基調とした服ーーーぼやけて視界が揺れているからハッキリとは見えないがゴスロリというやつだろうか?

...それに泣いている....もしかして俺が倒れているから泣いているとか?


だとしたら天使だ。


(それにしても中々死なないな....かなり出血していると思うけど....タフ過ぎない?)


そう考えながら、激痛にしばらく耐えていると騎士のような格好をした人たちに止められながらこちらにけ寄る女性を見つけた。


「アルス!しっかりして!!」


アルス?誰だそれ....


俺の腹部に手を乗せて、呟き始めるとするとその女性の手が光った。

それに円が空中に浮いているし幾何的な形も見える。


ーーーーもしかして魔法だろうか?つまり俺は異世界にいる?


え?異世界?唐突過ぎない?

だとしてもいきなり瀕死って....いや、元々瀕死だからいきなりではないか

....転生しても瀕死って新手の拷問かな?


「な、なんで!なんで傷が塞がらないの!!」


女性は叫びながら泣き始める。


ーーーーここが魔法がある世界ならなんとなく状況を理解した気がする。


おそらく今のは治癒魔法みたいなものだろう、それでも俺の傷は治らなかったのだろう。


「ーーーーっっ!!」


言葉にならない痛みーーーを急に感じたと共にいきなり体が熱くなった。


「え?何この、光....もしかしてスキル?」


女性が驚いているみたいだが聞こえなかった。

だが、治癒魔法が効いたのか痛みが引いていくのを感じる。


もしかして再生している?

だとしたらこの女性には感謝しないとな。


そう安心すると、疲れが出たのかいつのまにか気絶してしまったのだったーーーー




―――――――――――――――――


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