無限ビュッフェ

日月 希

第1話

9月24日―給料日を目前に控えたこの日

クシャクシャの五千円札を握りしめ、

九井ここのい 新保しんぼは悩んでいた。


(先月の給料、調子に乗って使い過ぎた…。

でも、今日は週に一度のチートデイ。好なものを、好きなだけ食べたい!)


「ぐぬぬぬ…」


たった五千円で色んな料理を食べれる店…

真剣に考え続けている新保しんぼの頭にある単語が浮かぶ。


「ビュッフェだ!」


そうと決まれば即行動

スマホで「〇〇市 食べ放題 5000円以下」と調べ、一番上に出てきた店へと向かった。




先に会計を済ませて、店員から説明を受ける

制限時間は60分。その間は食べ放題らしい


(う〜ん、5000円で1時間ポッキリか…たった1時間じゃ全部は食べ切れない。けど!)


俺には超能力がある。

といっても瞬間移動とか、サイコキネシスの様な目に見えてすごい能力は持っていない。

強く願うと60

それだけ。


持っている事を誰にも証明出来ない

そんなパッとしない力だけど、今一番欲しい能力を聞かれたら迷わずこれを選ぶだろう。




午後1時30分


店員が開始の合図と共にストップウォッチを作動させ、60分間の食べ放題が始まる。


俺は即座に皿を取り、目の前の肉料理コーナーに足を運ぶ。


そこにはシェフが目の前で焼いたステーキ、

油がジュワジュワと音をたてる唐揚げ、

きれいに層の分かれた豚の角煮、

鮮やかな色をしたローストビーフなどが置かれていた。


俺はごくりと唾を飲み込み、大量の肉料理を皿に盛り付けると、まだご飯を取っていない無い事を思い出す。


(しまったな、ここでタイムロスしてしまうとは…)


このままご飯を取りに行くか迷ったが、

両手で持つのは厳しいと判断し、一旦机へ置きに行く事にした。




新保しんぼは席に戻り、ご飯と麦茶を机に置くと

その場で軽く両手を合わせ、料理が冷める前に口に運んだ。



―――――――――――――――――――


次回、新保しんぼ君がご飯を食べ終わり次第投稿します。

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