幼馴染、かき氷、都会

春嵐

01 イントロダクション

「寒いな」


 先に着いたのは、小下だった。いつもの階段に座り込む。遠くにぼんやり、都会の光が見えた。


 あのちょこっとだけ先端が見えるのは、超高層マンション。

 たいしてこちらは、わずか四段、腰掛ける程度の用途しかない無意味な階段。


 階段の先には小さな公園で、あとは地下鉄の駅ぐらいしかない。あの光が見える都会までわずか5分。

 小高い山の、古ぼけた町。都会化に失敗した、ありふれた田舎。


 雪が、ちらついている。風もほとんど無く、小さな粒がゆっくり上から下に落ちてくるのみだった。風情はない。

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