オトコノタタカイ
「ありがとう、アクロ……」
「心から……君の事が大好きだ……!」
セレンが
「ジシィャアァアァッ!」
突き刺した
セレンは争いなどしたことが無い……。
人を叩いたことすら無い……。
ただ助けたかった……愛する人を……。
そして守りたかった……その約束を……。
その
「……馬鹿がっ……!」
男はアクロの腕を離した……。
セレンを本気で
甘く見積った
(なかなか根性だけはあるようだな……セレンと言ったか……?)
「グゥオァラァアァッ!!」
男が右腕を引き抜き、天を仰ぎながら倒れたセレンに、アクロが駆け寄る……。
「知らない……空だ……」
「セレン、お前は
「お前はアクロと言ったか……? ほら……いくぞ……アクロ……」
男は布で失った左目を押さえながら、泣き
片腕に抱えられ宙に浮かぶ脚は、ジタバタと暴れる……。
アクロの
男は背を向け歩き去る……。
アクロの声が……遠くなる……。
(行っちゃ駄目だ! アクロ!)
(行っちゃ駄目だ!)
(行っちゃ駄目だっ!)
(行っちゃ駄目だっ!!)
(行っちゃ駄目だぁー!!!)
セレンの意識は
泣き
アクロの存在に確信がないながらも、荷車を用意して来た事を考えれば、男は
モゴモゴと、何かを叫んでいるようだ……。
相手にするのも
先程まで……辺りに
男は……後ろを振り返った……。
(……セレン……まさか……お前……)
「おいおい……
男の脳裏に己が若き戦士だった頃がよぎる……。
この出会いも何かの運命だと確信した。
「まだ声は聞こえているか? もし、まだ息があるのなら! アクロを救いたければ! 俺を追ってこい!」
「俺の名はガウェイン! ガウェイン・ガドウィック!」
「また会える日を待っている!」
ガウェインは
「ガ……ェ……イン……ガド……ィック……」
セレンは
第10話
男の戦い
あの日……。
私は
東の大陸から西の
アレと出会ったのは、その帰り道でのことだった……。
「
そんなことをボヤきながら私は、馬車の窓から外を
「旦那様、お言葉ですが、
隣にはいつも口うるさい、ヒトの女がいる、訳あって、生まれて間も無い頃に、私が引き取り、ここまで育ててきた者だ……。
(コレはよく喋る……。我らの種族は最も発声が
私はそんな事を考えながら、ずっと外を
そうしていると、馬車の進む道の先に、何か大きな人だかりが見えた……。
まだ
そして馬車がその横を通った時……。
「つまり、今回の旅の目的は遊びでわっ……! なっ……!?」
「ヴァガッダ……ヤメロ……」
私は身を乗り出す様に腰を浮かし、窓の外を
「分かってるなら……良いのです……」
私はすぐに立ち上がり……。
「ヴォイ……
「だっ、旦那様? どうしまっ!」
私は扉を開け、すぐに馬車から飛び出した。
「マザカ……ゴンナ……アァアッ……ナンダァ……ゴレヴァ……」
(それまで私は、あれほど美しい
だが……あの宝石のような……
今も、
思い出すだけで……私の全身の熱が
「ヴァアァ……
今はまだ……眠れぬ夜が続いている……。
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