第28話 幼なじみの絆⁉ レオン、給仕係に大奮闘!
猫耳ハウスでのパーティーは大いに盛り上がり、ガレッド団長と六光の騎士たちとの会話が弾んでいた。リリカとステラも、彼らとの交流を通じて絆を深めているようだった。リビングは笑い声と楽しげな話題で満たされ、まるで家族のような温かい空間が広がっていた。
「ステラ様、ここは本当に居心地が良いですね」
ガレッド団長がそう言ってくれると、リリカは嬉しそうに微笑んだ。
「そう言ってもらえて嬉しいです。皆さんがいてくれるから、こんなに楽しいんですよ」
その時、玄関のドアが開き、アレク、エリオス、メルヴィル、レオンが姿を見せた。
「お待たせしました。遅れてしまって申し訳ありません」
アレクが軽く頭を下げて言うと、リリカは笑顔で応えた。
「アレク、エリオス、メルヴィルさん、レオンも!来てくれてありがとう!」
アレクたちが会場に入ってくると、六光の騎士たちもそれぞれに声をかけて迎え入れた。エリオスは早速、ガレッド団長と親しげに話し始め、メルヴィルは料理のテーブルへと向かった。
「いやあ、美味しそうな料理が並んでるじゃないか!さすがはリリカ、手際がいいね」
メルヴィルの言葉に、リリカは少し照れたように笑った。
「ありがとうございます。でも、料理はほとんどセルフィさんがしてくれたの!」
一方、レオンは少し緊張した様子で、会場の様子を見渡していた。その時、彼の肩に突然手が乗せられた。振り返ると、そこにはニヤリと笑うセルフィの姿があった。
「レオン、来てくれて嬉しいわ。でも、今日はただ楽しむだけじゃなくて、ちょっと手伝ってもらうわよ」
セルフィはそのままレオンの腕を掴み、あっという間に彼を連れ去った。
「えっ!?ちょ、ちょっと待って、セルフィ!?」
レオンが慌てて抵抗しようとするも、セルフィの力には敵わず、そのままキッチンへと連行されていった。リリカとステラはその様子を見て笑いをこらえた。
「レオン、無理やり連れて行かれちゃったね」
ステラが小声で言うと、リリカも小さく頷いた。
「二人は幼なじみなんだって!、セルフィにはいつも頭が上がらないみたいね」
キッチンに連れてこられたレオンは、セルフィに無理やりエプロンを着せられていた。セルフィは楽しそうに指示を出し、レオンはそれに従わざるを得なかった。
「はい、レオン。次はこのお皿をテーブルに運んでね」
「ええっ……こんなにたくさん?」
レオンは驚きながらも、セルフィの指示に従って料理を運び始めた。実は、レオンは六光の騎士の入団試験にも何度も挑戦していたが、そのたびに落ち続けていた。その度にセルフィに励まされ、時には叱咤されながらも挑戦を続けていたのだ。
レオンはよく思い出す。入団試験に落ちる度にセルフィがかけてくれた言葉。
「セルフィ、本当に僕にできるのかな……」
レオンが小さな声でつぶやくと、セルフィは振り返って真剣な表情を見せた。
「レオン、あなたはもっと自信を持っていいの。入団試験に落ちたからって、それが全てじゃないわ。あなたにはあなたの強さがあるんだから」
セルフィの言葉に、レオンは少しだけ顔を上げた。彼女の信頼と期待に応えたいという気持ちが、彼の心の中に少しずつ湧き上がってきた。
「ありがとう、セルフィ。でも、やっぱり六光の騎士になりたかったんだ。君の隣で戦えるように」
セルフィはその言葉に少し驚いたが、すぐに優しく微笑んだ。
「だったら、諦めないで。何度だって挑戦すればいいのよ。私はいつだって応援してるから」
レオンはなれないながらも、セルフィの指示通りに給仕の仕事をこなしていった。彼のぎこちなさを見守るセルフィの姿は、いつものメイドとは違う、頼もしい騎士の一面が垣間見えた。
一方で、会場ではアレクがエリオスとともにリリカたちと会話を楽しんでいた。
「リリカ、ここまで素敵なパーティーを開いてくれて本当にありがとう。君たちの成長がこうして形になるのを見るのは嬉しいよ」
アレクの言葉に、リリカは少し照れながらも感謝の気持ちを伝えた。
「こちらこそ、いつも支えてくれてありがとう、アレク。これからも私たち、もっと頑張るから」
パーティーは和やかな雰囲気で進み、猫耳ハウスには笑い声とおいしい料理の香りが満ちていた。リリカとステラは仲間たちと過ごすこの特別な時間を心から楽しんでいた。
レオンもセルフィに引っ張られながらも、次第に給仕役に慣れ、笑顔を見せるようになった。彼がセルフィとともにこの場にいること、それ自体が彼にとっては大きな一歩だったのだ。
こうして、リリカたちの仲間との交流はますます深まり、新たな冒険への期待を胸に、パーティーの夜は静かに更けていった――。
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