第23話 ㉔竹田城奇襲と苦戦

 

 高虎は四国に向かう際、昔を思い出していました。

 天正5年(1577年)10月、藤堂高虎は羽柴秀長の軍に加わり、但馬国への進軍に参加しました。高虎は、この戦で己の名をさらに高めるため、そして家名を輝かせるために意気込んでいました。


 秀長が率いる3000兵は岩洲城・竹田城に迫り、これを攻め落とそうとしていました。しかし、竹田城はその堅固さと防衛力で知られており、通常の攻め方では攻略が難しいとされていました。そこで、高虎は居相政貞(濱田岳)の案内を受け、奇襲を決行することを決意します。


**竹田城への奇襲**


 暗闇に紛れて高虎の部隊は竹田城に接近します。城を守る兵たちは、まさか夜襲が行われるとは思っておらず、警戒が手薄になっていました。高虎はその隙を突いて、静かに城門へと忍び寄りました。


 やがて、高虎の合図と共に奇襲が始まりました。竹田城の守備兵は突然の襲撃に混乱し、次々と倒されていきます。高虎は自身の剛腕で道を切り開き、無駄のない動きで敵を斬り伏せました。彼の勇敢な姿に感銘を受けた部下たちも、士気を高めて敵を次々と討ち取ります。


 奇襲は見事に成功し、竹田城は陥落しました。この功績により、高虎は1,000石を加増され、足軽大将に昇進することとなりました。しかし、彼の戦いはこれで終わりではありませんでした。


**尾代谷・古城山一揆衆攻め**


 竹田城攻略の後、高虎は120騎を率いて尾代谷と古城山にいる一揆衆を攻める任務を受けます。しかし、この戦いは竹田城での奇襲とは異なり、極めて困難なものとなりました。


 尾代谷と古城山は地形が険しく、防御に優れていました。高虎の軍は、一揆衆の執拗な抵抗に直面し、進軍は次第に遅れ始めます。山中の狭い道や茂みを利用した一揆衆のゲリラ戦術は、高虎の部隊に大きな損害を与えました。


 さらに、栃谷城の守将である塩冶左衛門尉が背後から攻撃を仕掛けてきます。高虎の部隊は二方向からの攻撃を受け、戦況は一気に不利となりました。部下たちが次々と倒れていく中で、高虎は己の力不足を痛感します。しかし、彼は決して諦めませんでした。


**高虎の奮闘と勝利**


戦場が混乱する中、高虎は一騎で突撃を敢行します。彼の目は敵将、そしてその周囲にいる一揆衆たちを捕らえていました。高虎はその剛腕と剣術を駆使し、次々と敵を倒していきます。血が滲むような激しい戦いでしたが、高虎の意志は揺らぎません。


ついに、高虎は塩冶左衛門尉を討ち取り、一揆衆の士気を完全に崩壊させます。敵兵たちは散り散りになり、戦いは高虎の勝利で終わりました。しかし、その代償は大きく、多くの犠牲者を出してしまいました。戦場に響く仲間の悲鳴や死の匂いが、彼の心に深い傷を残しました。


この戦いを通じて、高虎はただの力だけでは勝利を掴めないことを学びます。戦術や策略の重要性、そして仲間との連携の大切さを痛感し、彼はさらに成長していくのです。この苦戦の経験は、後の彼の軍略に大きな影響を与えることとなりました。


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この章では、竹田城での奇襲成功と、その後の尾代谷・古城山での苦戦を描いています。高虎がただの豪勇ではなく、苦難を乗り越えて成長していく姿を強調し、彼の人間的な深みを描くことを目指しました

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