第19話「本能寺の変」
### 大河ドラマ『藤堂高虎』第20話:「本能寺の変」
#### あらすじ
第20話では、歴史的な事件「本能寺の変」が描かれます。この回では、藤堂高虎がこの大事件にどう関わり、どのような選択をするのかが焦点となります。高虎の信長に対する忠誠心や、彼の将来に対する決断が物語の中心になります。
### 第一幕:暗雲立ち込める本能寺
天正10年(1582年)の本能寺の変が発生する直前、高虎は信長の近臣として仕えており、日々の業務に励んでいます。しかし、信長が京都の本能寺で暗殺されるという恐ろしい知らせが舞い込みます。信長の命を狙った明智光秀の突然の裏切りに、京都の政治的緊張が高まっていることが描かれます。
信長が突然の襲撃を受けた本能寺での混乱の中、高虎は信長を守るために奔走します。彼は本能寺に駆けつけ、信長の身を守るために戦いますが、その努力も虚しく、信長は明智軍に包囲されてしまいます。
### 第二幕:信長の死と高虎の決断
本能寺の変の知らせが広まり、周囲は混乱に陥ります。高虎は信長の死を受けて、どう動くべきかを考えます。彼は信長の遺志を受け継ぎ、織田家の未来を守るために奮闘しますが、明智光秀の勢力が急速に拡大しており、彼の行動に対する判断を迫られます。
信長の死後、織田家の中で権力争いが激化し、高虎はその中心で動くことになります。彼は、信長の子・信忠や、他の織田家の家臣と連携し、明智光秀の勢力に対抗するための戦略を練ります。高虎の忠誠心と戦略的な知恵が試される場面が描かれます。
### 第三幕:明智光秀との対決
高虎は織田家の再建と明智光秀への対抗策を進める一方、明智軍との戦闘が避けられない状況に直面します。彼は優れた軍事指揮官として、明智軍との激しい戦闘に挑みます。戦局は刻一刻と変化し、高虎のリーダーシップが光る場面が描かれます。
一方で、高虎の部下や仲間たちも、それぞれの戦いに挑んでいます。彼らがどのように戦局に影響を与え、高虎と共に信長の遺志を受け継いでいくのかが見どころとなります。
### 第四幕:秀吉の台頭と高虎の未来
本能寺の変から数日後、豊臣秀吉が明智光秀を打倒し、信長の後継者として台頭します。高虎は秀吉と対面し、新たな時代の到来を感じます。彼は信長の遺志を受け継ぎながら、秀吉と協力する決断を下します。
秀吉の台頭によって、日本の政治は大きく変わり、今後の展開に対する期待と不安が交錯します。高虎はこれからの時代にどのように向き合い、どのような役割を果たすべきかを考えます。物語は、高虎が新たな時代に向けての決意を固める場面で締めくくられます。
### キャスト
- **藤堂高虎**:佐藤健
- **織田信長**:小栗旬
- **明智光秀**:伊藤英明
- **豊臣秀吉**:伊藤淳史
- **村井貞勝**:ケンドーコバヤシ
- **信長の家族**:窪塚俊介(信忠)、木村文乃(信長の妻、濃姫)
### 見どころ
第20話「本能寺の変」では、日本史の重要な転換点である本能寺の変を高虎の視点から描きます。信長の死によって混乱する時代の中で、高虎がどのように判断し、行動するのかが見どころです。また、新たな時代の幕開けに向けた高虎の決意と、その後の展望が描かれることで、物語に深みが増します。
藤堂高虎の物語を本編として描きます。
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### **本能寺の変前夜**
高虎は過去を振り返っていた。弘治2年(1556年)1月6日、近江国犬上郡藤堂村(現・滋賀県犬上郡甲良町在士)で、藤堂虎高の次男として生まれた藤堂高虎。幼名は与吉。彼は幼少期から並外れた体格を持ち、数人の乳母に育てられるほどの壮健さを持っていた。荒々しい性格で、3歳の時には餅を5つ6つ平らげ、ケガをしても痛みを口にしなかったと言われる。
高虎の人生は、兄の高則が戦死することで一変する。高則の死後、若くして家督を継いだ高虎は、信長に対する復讐を誓うが、直後に信長の死を知り、その怒りと誓いは未達のままとなる。
### **戦国の中で**
高虎は戦国大名・浅井長政に仕官し、元亀元年(1570年)の姉川の戦いで父・虎高と共に初陣を飾る。磯野員昌隊に属して武功を挙げ、その後の宇佐山城攻めでも活躍し、長政から感状と脇差を受ける。しかし、元亀3年(1572年)には、勲功を巡る争論の末に同僚を切り捨てて逃走する事態となる。この逃走劇では、大紋の羽織を裏返して着用し、追手の者が「大紋を着た者を見なかったか」と尋ねても誰もわからなかったという。
### **本能寺の変の直前**
時は流れ、1582年の本能寺の変が迫る中、高虎は過去を振り返っていた。信長の死によって自らの誓いが果たせなかったことに思いを馳せながら、運命の時が近づいていることを感じる。彼はその運命に対して、どのように対処すべきかを内心で模索しながら、今後の行動を決定しようとしていた。
本能寺の変が歴史の大きな転換点となる中、高虎の心境は複雑で、彼がどう動くかが歴史にどのような影響を与えるのかが見ものとなる。彼の運命と行動が、歴史の流れをどのように変えていくのか、その行く先が注目される。
### シーン: 明智光秀の決意(本能寺の変直前)
**ナレーション**: 「天正10年(1582年)5月下旬、天下を統一しつつある織田信長の影響力は絶大だった。しかし、その冷酷な施策と周囲への圧迫は、忠実な家臣たちの心にも暗い影を落としていた。そして、最も近い家臣でありながら、信長に対する鬱屈した思いを募らせていた男がいた。その名は、明智光秀」
**場面転換**: 静かな夜の明智邸。光秀(伊藤英明)は、蝋燭の明かりが揺れる部屋の中で一人、深く考え込んでいる。彼の表情には、葛藤と決意が交錯している。近くには彼の剣が置かれ、その刃が微かに光っている。
**明智光秀**(独白): 「信長様…あなたは天下を取るべきお方かもしれない。だが、その道のりはあまりにも苛烈で、多くの者が命を散らしてきた…。私もまた、その犠牲者の一人に過ぎないのか?」
**場面転換**: 光秀が机に置かれた信長からの指示書を手に取る。その内容には、無謀とも言える新たな軍事行動の命令が書かれている。光秀は眉をひそめ、やがてそれを投げ捨てる。
**明智光秀**(静かな声で): 「このままでは、我が家も、我が家臣たちも皆、破滅の道を歩むことになる…。信長様はあまりにも強欲だ。私たちの献身を、何とも思っていない」
**回想シーン**: 信長(小栗旬)に侮辱される光秀の過去の場面が映し出される。信長は光秀に冷たく言い放つ。
**織田信長**(過去の声): 「光秀、お前はただの道具に過ぎん。俺の命令を黙って実行すれば良いのだ」
**ナレーション**: 「光秀は、信長の命令に従い続ける自らの姿を思い返し、心の中で深い屈辱と悲しみを抱えていた。そして、その感情はやがて決定的な覚悟へと変わっていく」
**現在シーンに戻る**: 光秀は、家臣たちの未来、そして自分の家族の命運を想い、ついに決意を固める。
**明智光秀**(決然と): 「信長様を討たねばならぬ。私がこの手で、新たな時代を切り開くために…」
**場面転換**: 光秀は剣を手に取り、家臣たちを集めるために立ち上がる。彼の目には、冷静さと鋭い決意が宿っている。
**ナレーション**: 「こうして、明智光秀は信長を討つ決意を固め、本能寺へ向かう計画を練り始めた。彼の行動は、歴史を揺るがす大事件の幕開けとなるのであった」
**場面転換**: 明智家臣たちが集結し、光秀の命令を待つ姿。光秀がその前に立ち、力強い声で命令を下す。
**明智光秀**: 「全軍、京へ向けて進軍せよ!標的は…本能寺である!」
### シーン: 明智光秀の急襲と本能寺の変(天正10年6月2日)
**ナレーション**: 「天正10年(1582年)6月1日、京の空は澄み渡り、静寂な夜が訪れていた。本能寺に宿泊する織田信長は、天下統一を目前に控え、油断の中で過ごしていた。しかし、彼の運命は、刻一刻と迫る危機に気づくことなく、静かに揺らぎ始めていた」
**場面転換**: 夜半、京の街道。明智光秀率いる大軍が、静かに本能寺へ向けて進軍している。馬の蹄の音や、鎧の擦れる音が、冷たい夜風にかき消される。
**明智光秀**(冷静に、低い声で): 「全軍、抜かりなく進め。この夜が明ける前に、すべてを終わらせるのだ」
**家臣たち**(小声で): 「はっ!」
**場面転換**: 本能寺の内部。信長(小栗旬)は、松明の灯りの下、囲碁を楽しんでいる。部屋の外は静かで、僅かな警備兵が見回りをしている。
**ナレーション**: 「信長は、自らの勝利を確信し、何の不安も抱かずに過ごしていた。しかし、その静寂は、すぐに破られることになる」
**場面転換**: 本能寺の門前。明智軍の先鋒が一斉に門を突破し、火縄銃の火花が暗闇を切り裂く。続々と兵が本能寺の敷地内に突入し、緊張感が高まる。
**家臣たち**(低い声で): 「突破したぞ…このまま進め!」
**明智光秀**(冷静に、低い声で): 「余計な血は流すな。信長だけを狙え」
**場面転換**: 本能寺の内部。信長はまだ囲碁の盤面を見つめ、次の一手を考えている。ふと、何かを感じ取り、目を細める。
**信長**(自信ありげに): 「この静けさ…嵐の前の静寂か?」
**警備兵**(慌てて): 「信長様!明智軍が、明智軍が突入しました!」
信長は冷静に囲碁盤を見つめ、次の一手を置く。そして立ち上がり、松明の灯りの中でその姿が浮かび上がる。
**信長**(微笑みながら): 「面白い。光秀、ここまで来たか。最後の一戦を楽しもうではないか」
**場面転換**: 本能寺の回廊。明智軍が本堂へと進軍し、刀を抜き、警備兵を次々と倒していく。信長の側近たちも剣を取って応戦するが、次々と倒されていく。
**家臣たち**(息を切らしながら): 「殿、ここは危険です!早く逃げましょう!」
**信長**(毅然と): 「逃げる?笑わせるな。ここが俺の終わる場所なら、それもまた良しだ」
**場面転換**: 本堂の前。明智光秀が自らの軍勢を率いて現れる。彼の目は鋭く、決意に満ちている。
**明智光秀**(冷静に、しかし力強く): 「信長、この夜が明ける前に、全てを終わらせよう」
**信長**(微笑みながら): 「光秀、最後までお前らしいな…さあ、かかってこい!」
**ナレーション**: 「歴史に刻まれる運命の瞬間が、今、幕を開けた――」
**場面転換**: 本堂の内部。信長は堂々と明智光秀の前に立ち、炎の揺らめく光がその鋭い目を映し出す。周囲には、散らばった囲碁の石が静かに転がっている。
**信長**(嘲笑混じりに): 「光秀、これが貴様の選んだ道か。俺に刃を向けるとは、よほど覚悟ができているようだな」
**明智光秀**(静かに、しかし確固とした声で): 「覚悟など、とうに決めている。この国のため、そして新たな時代を切り開くために、今ここでお前を討たねばならぬ」
**信長**(微笑しながら): 「新たな時代か。面白い。だが、俺を討ったところで何が変わる?お前も、結局は同じ運命を辿ることになるのだ」
**光秀**は一瞬目を伏せるが、すぐにその鋭い視線を信長に向け直す。
**明智光秀**(強く): 「それでも、ここで引くわけにはいかない。お前が築いた時代は終わりを迎え、次は俺が新たな秩序を築く。これが、俺の使命だ」
**信長**は刀を抜き、軽く一振りしてその鋭さを確かめる。
**信長**(挑発的に): 「ならば、その覚悟とやらを見せてもらおう。だが、覚えておけ、光秀。俺は簡単には死なん」
**場面転換**: 本能寺の外庭。激しい戦いが繰り広げられている。明智軍は信長のわずかな護衛兵を圧倒し、本堂へと続く道を切り開いている。
**家臣たち**(気迫に満ちた声で): 「明智軍、進め!このまま信長を討ち取れ!」
**場面転換**: 本堂の内部。信長と明智光秀がついに対峙する。火の粉が舞い、重い緊張が空気を支配する中、二人の剣が交差する。
**剣の音が響き渡る**。二人の攻防は激しく、一瞬たりとも油断できない。光秀の剣は冷静さと決意を帯び、信長の剣は圧倒的な力と経験で応じる。
**信長**(息を切らしながらも笑みを浮かべて): 「お前の腕前、ここまでとはな。だが、まだまだだ」
**明智光秀**(冷静に、しかし内に秘めたる情熱を感じさせて): 「信長、お前をここで倒さねば、未来は無い」
**戦いは続く**。その激しさは増すばかりで、二人は互いに寸分の隙を与えない。火花が散り、剣の音が本堂中に響き渡る。
**突然、信長の剣が光秀の防御を突破し、光秀の肩をかすめる。**
**明智光秀**(苦痛に顔を歪めながらも、決して引かず): 「まだだ…!」
光秀は痛みに耐えながらも、最後の力を振り絞り、信長の胸元に鋭く剣を突き出す。
**信長**(苦悶の表情を浮かべるが、すぐにそれを消し去り): 「光秀、お前にしてやられたか…だが、この俺を倒しても、お前の道は茨の道だ…!」
**信長は倒れ、堂内に沈黙が訪れる**。光秀はしばらく信長を見下ろし、深い呼吸を整える。
**明智光秀**(疲れた声で): 「信長、お前を討った…だが、この先に待つものが何か、俺には分からない…」
**場面転換**: 本能寺の外。夜が明ける頃、明智軍の兵たちは勝利を祝うが、光秀は一人、血に染まった剣を見つめている。
**ナレーション**: 「本能寺の変は、信長の命を奪い、新たな時代を告げるものとなった。しかし、その代償は、光秀自身が想像していた以上に重かった…」
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