ある日、クラスメイト全員が死んで、僕だけ生き残ったので事情聴取されました

真辺ケイ

第1話 取り調べされた

2024年9月2日(月)。兵庫県神戸市で34人の遺体が見つかった。発見された場所はそれぞれ別の場所だったが、調べてみると、私立信仰高校3年4組の生徒であることが分かり、ニュースになった。


そして、9月3日(火)。僕の下に警察が来た。

「翼元鬼沙羅さんですね」

「そうですが・・・」

「すでに心当たりはあるかもしれませんが、事情をお聞かせ願いたいので、署の方まで来ていただけますか?」

「わかりました」


発見された34人の遺体は、全て同じクラスのものだったが、そのクラスは全員で35人であり、全員が亡くなったわけではなかった。


「あの・・・」

「どうしたのかな?」

隣の警官、高城というらしいが、パトカーに乗ってから、いや乗る前も、会ったときから、視線が僕。

「いや、あの、本当に僕だけなのかなと思って。生きてるの」

「残念だが、そうだ」

「それじゃあ、ニュースの内容って本当だったんですね」

「君は、随分と落ち着いているようだな」

「そういうわけではないんですけど」

それきり車内では、会話がなかった。


警察署に到着すると、すぐに応接室に案内された。部屋の中はシンプルで、長いテーブルといくつかの椅子が並んでいた。応接室の隅にある窓からは、外の街並みがぼんやりと見える。僕は椅子に座り、しばらく黙って待っていた。高城さんは何も言わず、別の警官と話している。


数分後、年配の警察官が部屋に入ってきた。彼の顔は厳格で、眼鏡の奥から真剣な目を覗かせていた。


「翼元君、はじめまして。私はこの事件を担当している田村です。」年配の警察官が言った。「まず、君の状況を確認させてもらいたい。」


「はい、よろしくお願いします。」僕は小さく頷いた。


「君が最後にそのクラスメートたちと会ったのは、いつだったかな?」


「一週間前くらいです。」僕は答えた。「クラス全体での集まりはなかったし、普通の授業もあったんですけど、最近はみんな忙しそうでした。」


「君はその中で特に仲の良い友人がいたかな?」


「いえ、特に仲が良いというわけではないんですが、みんなとは普通に話していました。」


「それでは、何か気になる点や、最近変わったことはなかったかな?例えば、誰かが何か心配事を抱えていたり、変わった行動をしていたり。」


僕は少し考えたが、思い当たる節はなかった。「うーん、特にありませんでした。普段通りだったと思います。」


「そうか。君自身、何か不安に感じることはないかな?最近、何か嫌なことがあったり、誰かに脅されたりしたことは?」


「いいえ、そんなことはありません。」僕は正直に答えた。「普通に学校に通っていましたし、特に変わったことはなかったと思います。」


田村さんは少し黙って考え込んでから、また話し始めた。「君が事件の中心人物として話を聞かれているのは、君が生き残っているからだ。君の話が事件解決の鍵になるかもしれない。」


「わかりました。」僕はその言葉に重みを感じた。


「では、これからも何か思い出すことがあれば、すぐに連絡してほしい。」田村さんは、優しくも厳しい口調で言った。


「はい、わかりました。」僕は返事をして、部屋を出る準備をした。


高城さんが近づいてきて、何か話したそうにしていた。「翼元君、君が話してくれたことは、僕たちの調査にも役立つはずだ。ありがとう。」


突然の警察官の訪問から数時間、僕は家に帰ることができた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ある日、クラスメイト全員が死んで、僕だけ生き残ったので事情聴取されました 真辺ケイ @kei_kei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ