身代わりの姫君

チョコミント

第1話

中流貴族の両親から生まれたレイラは幼少期こそ大切に育てられたが、母親が死んでから異変が起きた。

父親はすぐに再婚してレイラには2人の姉が出来た。最初こそ普通に生活出来ていたものの、父親を見なくなってからは邪魔者として虐められるようになった。メイド以下の奴隷のように扱われる毎日に心身共に限界だった。継母にやめるように頼んだが、

「アンタの父親は私を愛してくれなかった。だからアイツの全てを奪うって決めたの。爵位も家も娘だって。だから恨むならあのクズを恨むんだね。」

と突き放された。

その時我慢できなくなり、走って家を出た。レイラは全速力でレイラの母親の墓に向かった。墓に着くと作り笑いで

「今、そっちに行くね。」

と言って持って来たナイフで首を切ろうとした時、

「待ってくれ。」

という男性の声が響く。

「あなたは……。」

その男は馬車を降りて言う。

「はじめまして。私はルイ。ルイ=クラットと申します。」

レイラはその名に聞き覚えがあった。彼はこの国の王子で容姿端麗、才色兼備であり、もうすぐ結婚すると発表していた。

「どういった御用で………。」

レイラは身構える。

「端的に言えば、君に明日の結婚式に花嫁役として出て欲しいんだ。」

「……はい?」

レイラは完全に困惑していた。

(王子の結婚式という一大イベントに出席するのもおこがましい身なりの自分が花嫁役?)

「王子、幾ら何でも言葉が足りません。」

そう言って黒いスーツの男が降りて来た。

「はじめまして、お嬢さん。私は王子の執事のロビンです。私から説明します。」

「本来、明日王子と結婚する予定だったドリー様が昨日、謎の病で高熱を出し明日の結婚式に参加することができなくなり、そこでドリー様に似ているあなた様に白羽の矢が立ちました。」

「日程変更等はできないのですか。」

「各国の重鎮が参加する為、ここで日程変更をすれば我が国の名に傷をつけることになりできないのです。」

レイラには理解できなかったが仕方ないので承諾した。

「ありがとうございます。この恩はいつか必ず返します。」

王子が口を挟む。

「して、君の名前は?」

「レイラと申します。」

「では、レイラ。城に向かいましょう。」

王子の乗る馬車に乗り込んだ。

(ごめんなさい。お母様。まだそちらには向かえません。もう少し待っていてください。)

馬車に乗ると王子が

「それにしてもレイラの顔はドリーそっくりだな。血が繋がっているんじゃないか。それくらい君は美しい。」

「ありがとうございます。ですが、私は髪がボサボサで……」

「それは大丈夫。今から君の身なりを綺麗にするから。」

そんなことを話していると王宮に着いた。するとメイド複数人に風呂に連れて行かれた。

「あいさつもなしにすみません。ですが、今は時間が惜しいのでまずはお体を綺麗にさせていただきます。」

レイラは困惑した。

(えっ。私これからどうなるの。)

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