第3話
「僕、普段ほとんどクルマ乗らないんだよね。たまにバスかタクシー使うくらい。だからたまに助手席乗ると楽しい」
「都内だとそうかもな。車庫代も結構かかるし、電車移動で十分だし。でも渡瀬も一応免許持ってたよな」
「マニュアルでゴールド免許だよ。無事故、無違反、無運転! いつでも運転代わってあげる」
「絶対にいやだ」
「助手席のいいところ。青田が運転してる姿をずっと見てても気付かれない」
「まあ、なんとなくわかるけどな」
「こうして見ると二十年前の面影あるなあって」
「なんで二十年前?」
「なんとなく」
「普通そんな変わらないもんだよ。渡瀬が変わりすぎなんだ」
「ふふふ、努力したからね。コンタクトレンズと縮毛矯正は僕の人生を変えた三大発明のうちの二つだね」
「あと一つはなんだよ」
「内緒」
「でも、隣で声だけ聞いてると昔と全然変わらないのが面白いよな」
「それは嬉しいような、不本意なような……微妙な感じ」
「そんなもんか」
「助手席の良くないところ。運転席が思ったよりも遠い」
「運転中は変なことするなよ」
「運転中は」
「も、だよ」
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