俳句帳

@niwatori_chicken

季節の中にいるということ

春立つや光にも圧力はある


桜散る道にぽつと立つ屋台


苗代に遠くを見つめ立つ人の


山覚める生命流の滾るごと


鉄梁の裏くぼみにも春在らし


草の芽の中押されをり乳母車


夏立つやペットボトルの生ぬるし


夏の夕自販機ひとつ光るなり


新緑の音響野辺を轟けり


夏の雨あなたは何処へ行きますか


薄衣の女体信号機の規則


夏の日やバス一台目来て乗らず


孤島にて紫陽花うんと見つけたし


虹に吾の存在理由脈打てり


鉄道は走る終点夏の果


一面に花火天涯灼いて灰


涼風や通学路今短くて


銀杏散る背中は拒否の意思表示


月の夜の冷たさに指押し当てる


初めては不可逆で冬果てて吾は

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