夢から目覚めたら……
目を覚ますと俺は病院のベットの上にいた。
身体中のあちこちが痛い。
「谷口さんの意識が戻りました」
ドタバタと動き回っている音が遠く、耳に響いてきた。
「私、先生呼んできますね」
「お願い」
一人の看護婦が病室を出て行く。
右肩から腕に包帯が巻かれ、顔や足にも何か所か
擦り傷を処置している。
いったい…俺は…。
「谷口さん、もう5日も眠っていたのよ」
俺は5日も眠っていたのか……。
「マンションの7階から飛び降りて、生きてるのが不思議なくらいよ」
そうか…。俺はマンションから飛び降りたんだった。
俺は生きてるのか。
「ほんとにそれくらいのケガでよかったです」
「谷口さん、5階のベランダで倒れている所を住人によって
発見されたんですよ」
5階? なんで?
「なんでも。、警察の人の話だと6階のベランダにあった観葉植物に
当ってから5階のベランダに右肩から落ちたんだろうって」
俺は奇跡的に助かった。
「警察の人もホントに運がいいって言ってたわよ」
じゃ、俺は夢を見ていたのか。
いや、全てが夢じゃない……。
武人が結婚するのは本当だ。俺はショックのあまりマンションから
飛び降りた。
俺がたった一度だけ武人に抱かれたことも本当だ。
武人の温もりをこの身体が覚えている。
あの雨の日に交わした熱いキスも、絡み合う指先も、交じり合う結晶も
忘れられない禁断の愛の証だった――――――ーーー。
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