第34話 町の混乱
「なに? ゼゲン殿の屋敷で変死体? またやり過ぎて心臓麻痺か?」
「違います。例の教育係の連中です」
衛兵詰め所に、もたらされた情報。
獣人国と此処アキンダリアの町で、手広く商をしているゼゲン。
その屋敷では、獣人国側への出荷用の教育が行われていた。
そう、世間一般の情報では、獣人国にハーフやクオーターの獣人は居ないことになっている。
だが人が出荷され、繁殖。
労働用の機械扱いで、奴隷化されていた。
それは密かに、獣人達と交易の始まった数百年前、当初から行われている。
セコンディーナ王国、獣人国側辺境伯ワキーノ=アーマイン侯爵は、アキンダリアの町からの収益と贈り物で口を噤み、目はそれを見逃していたようだ。
自領で奴隷となると、王からの叱責も喰らうだろうが、他国内。
こちらでの誘拐は、良くあること過ぎて気にするほどではない。
そう人間で、アキンダリアにやって来るものはまれ。
年に百人は居ないだろう。
町や街道で、その位が居なくなってもたいした事はない。
そう平民など…… どうでも良いこと。
だが今回は逆。
町の有力商人ゼゲン殿の屋敷で殺人。
だが奇妙な事に、刀傷がない。
「これは、薬か?」
「いえ、特有の異変は少ないようです。薬師が言うには鉱山などで発生をする窒息ではと言っております」
「地下室で、風抜きはあれど、火を使ったりすると毒が溜まるそうでして、それで死んだのだと」
「ふむ」
部下からそう聞いて考え始める隊長。
確かに、鉱山とかで息ができなくなることがある。
だがあれは、大量に火を焚いたり、有毒なガスが吹きだして起こる事が多い。
そしてここは、奥に牢がある。
そのため、換気の魔導具が動いている。
しばらく調べたが何も分からず解散をしたが、最近町にやって来た傭兵達に目をつけていたことを知る。
だが、流石に何もないのに引っ張るのはだめだろうと、様子を見る。
だが、ゼゲンは少し焦っていた。
この所本当に人が来ない。
ちょくちょく、近くの村でさらっていたが、もう少し人が欲しい。
顧客の中に、どうも奴隷ではなく、自身の残虐性を満たすために買っていく者が一定数いるようだ。
「節操なく壊されてはかなわんな」
ゼゲンはぼやく。
いま、品数が少なくて、値は上がっている。
それでも売れる。
「生き物は、育つのに時間がかかる。やれやれだ。壊すのは数日だが……」
そうぼやきながら部屋を出ると、外にいる部下に言付ける。
「母体を多めに連れてこい。繁殖用だから、少々怪我をさせてもかまわん」
「はっ」
そうして彼らは、やめれば良いのに危険な物に手を出してしまう。
そう、ちょっと誘拐しただけなのに。である。
あれから数日後、危険だからと、女子だけの行動は制限をさせている。
委員長
それを聞いて、近くに居た
「あの、そんなことがあったなんて知らなくて、ごめんなさい」
委員長が頭を下げる。
「そうね、彼に助けて貰ったけれど、そうじゃなければ今頃奴隷よきっと」
薬による脱力。
その間に、媚薬と暴行。
逃げることがで来ても、その心痛はどれほどのものだろう。
自分たちは彼を失ったとき、人にあたりながら、だめだと思いながら抑えられなかった。
今心のよりどころの、武神君がいるから、落ち着いていられる。
そうで無ければ今でも私は…… きっと……
「辛ければ、相談くらいなら乗れるから。何でも言ってね」
そう言うと、未希が一歩前に出る。
「あのぉー委員長って、経験多いよね」
「えっ? なんの」
「えっち」
そう言われて一瞬固まる。
だがさっき自身が、何でも聞いてくれと言ったばかり。
「うんまあ。何かな?」
そう言うと、もじもじしながら聞き始める。
「始める前にトイレにも行っているのに、気持ちよくなるとお漏らしするみたいで…… どうやったら治るかな」
「お漏らし?」
「うん、横で見てると、ぴゅーっと言う感じででてるって楓が言ってて」
思わず委員長は、楓を見る。
するとこっくりと頷く彼女。
「あっそれってさ、潮とか言う奴じゃない」
「何それ?」
山田 亜美の周りに、皆が集まる。
その中で、川瀬 陽子だけが違和感に気がつく。
横で、楓。小川さんが見ていて、エッチしている??
いや回りに居た、星野さん達も頷いていた。
この子達、何をしているの…… あっ、嬉しそうに久枝灘さんが笑っている横で、眉間に皺を寄せて、腕を組んでいる霧霞君が思い浮かぶ。
今横で話されている、信じられないエッチの技。
彼氏だった、カルヴィン=ファーナムはどちらかと言うと、体力の人で、軽い愛撫から、ひたすら突かれるエッチだった。
今話される内容は、それなに? そんな事するの? それで気持ちいいのと聞くと、最高と皆がサムズアップをする。
ついでに、混ざる? そんなお誘いまで受ける。
貞操観念とか、プライドとか、独占したい気持ちとか皆はどこへ捨ててきたの??
まあそんな事があった数日後、買いたいものがあると言うことで、女の子を侍らした悠人がボデイガードとして付いて行っていた。
その中に、陽子も混ざっていた。
そして白昼の町中。
奴らがやって来た。
まあ正面から来たので、戦闘をすれば勝てる。
そう思っていた。
だが、その日の悠人は容赦がなかった。
見た瞬間どこから出した大鎌を振るう。
その瞬間、物理法則的にどうなのという感じで、暴漢達が倒れる。
攻撃範囲内に居た女の子達は平気。
陽子もパニックを起こしたが、残された遺体を見て、町中に激震が起こる。
「ありゃ、ゼゲンの手下じゃな」
「ああ、これは荒れるぞ……」
だが、問題が見つからなかった……
だけど、表面的にはそうだが、詰め所では山賊に扮した兵達が、一軒の家に向かう。
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