1000年分の祝福を君に
viole
プロローグ
「でさ〜…」
「なぁ!昨日のアレみた?」
「あっ!それ〇〇の新作で…」
朝休み。多くの生徒が友達とのトークに花咲かせている。今日も教室は騒がしい。
「あの人いつも一人じゃない笑?」
「友達いないんだろ?」
「なんかあの子の父親あの子のせいで死んだらしいよ。それで母親にも逃げられたって。」
「ヤバいヤツじゃん。引くんだけど。」
「何にせよ、関わんないほうが良くね。呪われそう笑」
昼休み。教室にて昼食をとる。周りがいつも私に何か言ってる。
「あんた気味悪いんだよ!」
「どうせアンタも牧野くん狙ってんでしょ?」
「まぁアンタみたいな幽霊女、相手にもされないと思うけどw」
放課後。クラスいや、学年のリーダー的女子達に謎の逆恨み、鬱憤晴らし攻撃(物理)を受ける。マキノサンなんて知らないし、相手なりたいとも思わないし…
心底どうでもいい。
夕方5時過ぎ。いつも通り駅へ向かう。汚れた制服、髪、バッグたち。だんだん自分の体が重くなっている気がする。
疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。
そんな言葉だけが脳裏に浮かぶ。
電車に揺られ、あの日の事ばかり思い出す。
「お前のせいだ!!お前なんて…産むんじゃなかった!二度と顔を見せるな!」
「アンタのせいで…!あの人の死んじゃった!!返しなさいよこの悪魔!」
駅を出てしばらく歩く。家に着いて、あの部屋へと足を運ぶんだ。もう誰もいやしないのに。天井がガラス張りになった父の部屋。今日の空は澄んでいて、満天の星空が降り注いでいた。
いや違う。刺すような光だった。無数の星が私を突き刺した。あの日が私を掴んで逃さない。
「正しく生きてきたはずなのになぁ…」
あの時、私に両親が言った言葉、それを聞いてからだ。それから何にも感じなくなった。他人に興味もなくなった。頭に何も入らなくなった。
あの
心を刺す言葉だけが…
私が聴いた最後のフレーズ。
そして死んだんだ。
あの日の夜、音木紫苑という少女が一人。
静かになった部屋で少女は眠りについた。
その目には二粒の涙があった。
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