第115話 姉須戸・トンプソン・伝奇とコユル
「次に解説するモンスターはこちらになります」
『角の生えた馬?』
『こんなモンスターは見たことないな?』
『尻尾が茨みたいに見えね?』
姉須戸がリモコンを操作してモニター画面にモンスターの画像を表示する。
モニター画面に表示されたのは水牛のような二本の角を生やした馬のようなモンスター。
歯はノコギリのように無数のギザギザになっており、尻無数の茨を束ねたような棘の尻尾が生えていた。
「モンスター名前はコユルといい、出没場所はDランク以上の草原や山岳タイプのダンジョンです」
『俺Eランクだから知らねえな』
『Dだけど見たことないな、レア系?』
姉須戸がコユルと言う馬のモンスターを解説すると、視聴者からは見たことがないといわれる。
「今現在目撃情報が少なく、レアモンスター扱いされています。攻撃方法は角を使った突進、馬らしく後ろ足の蹴り、噛みつきです」
『だいたい予想できる攻撃方法だな』
『この歯で噛まれたらヤバい』
姉須戸がリモコンを操作すると、遠距離から撮影されたと思われるコユルが突進したり、木の幹に噛みついて歯を研いでいたりする映像が流れる。
「オークなど一部モンスターの騎乗馬としても使われており、モンスター同士による一種の共存関係ではないかと私は考えています」
『モンスターが騎乗攻撃してくるのか?』
『これ見てるとテイムできそう』
『テイムしてもどこに預けるんだよ?』
『テイムにはそれがあるんだよなあ………>預ける』
姉須戸がリモコンを操作すると、オークがコユルに騎乗して行進している映像が流れる。
「コユルのドロップ品ですが、現状判明しているのは皮と角です。皮は防具に、角はまだ研究中で、角そのものを穂先にする槍ぐらいしか利用価値が判明していません」
『レアモンスター扱いだから中々遭遇しにくいし、研究材料もサンプルが足りない感じ?』
『探索者協会のサイト確認したら、コユルの角採取の依頼が幾つかあるな』
『一本につき最低五万か………まだ価値が安定してない感じ?』
『医療関係の需要が出たらでかいんだけどなあ』
『最初は用途不明で二束三文だった素材が、医療関係に欠かせないアイテムだとわかった瞬間、億超えしたな』
『それ知ってる。ゴールドラッシュのようにそれが出没するダンジョンに人が殺到して、入場制限された』
コメント欄では過去にあったバブルのような出来事が次々と書き込まれていく。
「もしコユルに関するデータがあれば売ってください。微々たるものですが、謝礼も用意しております」
姉須戸はそう言うと、動画にテロップで連絡方法など表示する。
「さて、次のモンスター解説に移りましょうか」
姉須戸はそう言うと、リモコンを操作した。
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