第46話 姉須戸・トンプソン・伝奇とウッドリングとウッドウォグトとウォーカーミート
「むう………またモンスターですか」
ヴァンパイアスレイブ達を倒して数分もしないうちに次のモンスターと遭遇した姉須戸は杖で肩を叩きながら愚痴をこぼす。
「やってきたのはウッドウォグトとウッドリングですか。葉っぱのトリケラトプスがウッドウォグトで、木が擬人化したようなのがウッドリングです」
姉須戸に向かってきたのはまるでガーデニングオブジェのような葉っぱが集まってトリケラトプスの形をしたウッドウォグトと言うモンスター。
そして、その背中に騎乗している木が人間になったようなモンスターをウッドリングと姉須戸は解説した。
『ウッドリングってドライアードと違うの?』
「はい、モンスター学的には違う種別のモンスターです。界隈ではウッドリングが進化したのがドライアードではと言う説もあります」
配信視聴者からウッドリングとドライアードの違いを質問されると姉須戸はモンスター学と言うカテゴリーでは違うと答える。
「ウッドウォグトの攻撃方法は体当たりです。動物などの姿形をしていますが、葉っぱの集合体で体当たりされると葉っぱで斬られます」
ウッドリングは巧みにウッドウォグトを操って姉須戸に体当たり攻撃を試みる。
姉須戸はウッドウォグトの攻撃を回避しながら解説を続ける。
『ウッドウォグトはモデルとなった動物の特徴とかもたないの?』
「はい、あくまで姿形を模写するだけです。ドラゴンの姿をしたウッドウォグトがいても、飛べませんし、ブレスも吐きません」
姉須戸が解説していると、今度はウッドウォグトに騎乗しているウッドリングが魔法を唱えて別のモンスターを召喚する。
「ウッドリングは植物に関連した魔法と召喚が使えます。できれば最優先で倒さないと、今回のように仲間を召喚します」
ウッドリングの召喚魔法によって呼び出されたのは運動会の大玉転がしに使われる大玉サイズの肉の球体。
肉の球体は真ん中から上下に裂けたかと思うと、中には巨大な牙を生やした口が現れ、ゴロゴロと姉須戸の方に転がり始める。
「あれはウォーカーミートと呼ばれる肉塊のモンスターで、転がりながら噛みついてきます」
『ウォーカーなんて名前ついてるのに歩いてねえやん!』
『見た目が人体模型の肉の方みたいでグロいな』
配信視聴者からウォーカーミートに突っ込みコメントが書き込まれる中、姉須戸はウォーカーミートとウッドウォグトの体当たり、そして無数の針のような葉っぱや地面から突如飛び出してくる木の根っこなど、ウッドリングの魔法を回避しながら隙を伺う。
「ウッドウォグトとウッドリングは見た目から連想できるように火に弱いです。また植物系モンスターなので枯れ葉剤も効果ありますが、こっちはかなり量がいりますし、効果がでるまで時間がかかります」
姉須戸は杖でウッドウォグトとウッドリングを指差しながら弱点を解説する。
「ウォーカーミートは特に弱点はありませんので通常攻撃でも倒せます。転がりながら攻撃をしてくるので、地面に罠をはるのもありです。
姉須戸は魔法を唱えながら杖で地面を叩くと、杖を叩いた部分を中心に高速で巨大な蜘蛛の巣が生成されて広がっていく。
ウッドウォグトとウォーカーミートは蜘蛛の巣に引っ掛かると、蜘蛛の糸に動きを阻害されて足を止める。
ウッドウォグトとウォーカーミートは蜘蛛の巣から脱出しようともがくが余計に絡まり、騎乗していたウッドリングも糸にからめとられる。
「ウッドウォグトとウォーカーミートは足を止めれば簡単に倒しやすくなります。
姉須戸が魔法を唱えると、手のひらに火の塊が現れる。
姉須戸は野球の投手のようにフオームをとりながら火の塊を蜘蛛の糸に絡まって動けないモンスター達に向けて投げる。
火の塊は着弾と共に蜘蛛の糸に引火して業火となって燃え上がる。
蜘蛛の糸に絡まっていたモンスター達は燃え盛る業火によって焼かれて霧散化していく。
「ウッドリングとウッドウォグトは火が弱点ですが、延焼する可能性があるので気をつけてください。さて、ドロップ品ですが………」
姉須戸は火が収まると、倒したモンスター達のドロップ品を漁る。
「ウッドウォグトからは薬効成分のある葉っぱがドロップします。ウォーカーミートからは一応食べられる肉塊がでますが、安肉みたいな味です」
姉須戸は葉っぱと十キロ単位はありそうな肉塊を配信視聴者に見せる。
「ウッドリングからは木材が手に入ります。これで魔法の杖を作ると、威力上昇やMP消費軽減がつきます」
『魔法使い系には当たりだな』
『魔法使いの杖って高いからな』
『こいつから手に入るのか』
姉須戸はウッドリングのドロップ品を解説すると、配信コメント欄は盛り上がる。
「さて、今日の探索はここまでにします。お疲れさまでした」
『おつー』
『乙カレー』
『今日も解説ありがとうございます』
「よろしければチャンネル登録と高評価お願いします。お疲れさまでした」
姉須戸は杖を脇に抱え、山高帽を脱いでお辞儀すると配信を終了した。
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