第4話 大洲市の神社

鈴が倒れて2日目 12時



すごい倦怠感に襲われた尊は…


気が付くと、病室で眠っていた。


―――ん?俺寝てたよー


慌てて目を覚まして…時計を見る。


―――もう昼か…


―――とりあえず、何か食べよう。



尊は、病院の食堂に向かった。


ごはんを食べながら…


スマホの写真を見る。


―――次は、愛媛県大洲市の神社か…


―――病室に帰ったら、すぐ行ってみよう。



―――お腹いっぱいになって眠くなってきた…


―――いやいや、寝てる場合じゃないぞ尊


―――よし!行くぞ。



ゴールデンウイークに


鈴と、5泊6日で四国に旅行に行ったんだった…


色々な所に行ったけど…


確か、神社はここだけだ。


事前に鈴が見つけていて…行ったんだ…



写真の上に石を置いて…


目を閉じて…開けるとそこには


鳥居が見えた。



鳥居をくぐると…先には本殿は見えない。


坂を上がると…


そこには、参籠殿が見えた。


由緒書には、昭和3年に地元有志により建設されたと記載されている。


参籠殿は、昭和9年に臥竜山荘を建築した中野○○の甥・中野○○によって設計され、神社の参道途中の傾斜面に「懸け造り」と呼ばれる特徴的な工法で建築されたそうだ。



確かに、斜面に経つ立派な建物だったから沢山、写真を撮った。



この神社は、名前の通り少彦名命すくなひこのみことを御祭神とし、全国でも珍しい「神様終焉の地」として建設された。家族の病気平癒、子どもの進学、それぞれの願いや思いを包み込み、癒す神社だと…



―――こうして、ちゃんと由来とかを見ると…


―――考えさせられるものがあるな…


―――鈴は、どう思っていたのかな…



幸い人がいない…


今のうちに石を置こう。 



尊は、本殿に行き…


石を置いてみた。


しかし…石は光らないし…


何の反応もなかった…



―――やっぱりだめだ…



帰ろうとしたが…


尊には気になることがあった…



こうして来た時に撮った写真は、どうなるんだろう。


スマホに保存されるのかな…



そう思った尊は、斜面に立つ神社の写真を何枚も撮った。


おまけに、普段はあまりしないのだが…


自撮りもしてみた。



―――よし、帰ろう。


―――鈴のそばに帰るぞ。



そして、尊は病室の写真の上に石を置き


病室に帰った。


鈴の状態は変わらない…


いくら話しかけても反応もなく…


尊は悲しくなった。



―――そういえば…


―――写真はどうなっているのか?



スマホを開いて、アルバムを見てみた…


でも、そこには撮ったはずの写真は


一枚も無かった…


―――向こうに行っている時のことは


―――現実には、反映しないんだ…


―――自撮り…鈴に見せたかったのにな…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る