第3話 益田市の神社

鈴が倒れて2日目 10時



こちらの時間にして10分のことなのだが…


尊はすごい倦怠感だった…


―――今、何時だ?10時か…


―――疲れた…



いや…そんなことは言ってられないぞ


鈴を早く取り戻さなければ…


時間が掛かればかかるほど、鈴の負担は大きいはずだ…



尊は、初詣は特に意識していない…


その年に初めて行ったのが初詣だ…


だいたいは会社で行くことになる…


だから数は少ないはず…



スマホを見て…二人で行った神社を探す…


その前に行ったのは…島根県益田市かぁ


確か…お寺に行ったら近くに神社があったから行ったんだった。



尊は、その写真の上に石を置いた。


そして目を開けると景色が変わっていた。



寺のそばにあるあの神社だ…


そうそう…ここだ。


大きな鳥居には、天満宮と書いてある。


でも、奥に見えるのは…小さな2つの鳥居


1つの敷地の中に3つの神社


珍しいと思ったんだった。



1つは…


本殿は天照大神あまてらすおおみかみ菅原道真すがわらみちざね


天照大神は、三重県の伊勢神宮に祀られています。又、道真公は天神として祀られ、今日は学問の神として受験生がよく、参拝しております。


と書いてある。


あの時はちゃんと見てなかったけど、そうだったんだな…



2つ目は…


祭神は、少彦名命すくなひこのみこと


少彦名命は、医療の神様で女性の病気や安産、子授けなどに霊験あらたかといわれています。男女問わずお参りしてください。


これも、ちゃんと見てなかったよ。



3つ目は…


祭神は、宇迦之御魂大神うかのみたま


稲を象徴する穀霊神、やわらかく言うと、農業の神さま。今は豊作、商売繫盛、交通安全を祈ったりしています。


なんか、今まで何も考えずにお参りしていたけど…


色々な神様がいるんだな…



とりあえず、石を置かないと…


まず、1つ目の神社に石を置いてみた。


でも…石は光らない…



次は、2つ目の神社に置いてみた。


石は何の反応もしない…



次に、3つ目神社に置こうとした時に…


人が来た…


危ない危ない…



「こんにちは」


と言われたので



「こんにちは」


と返した。



「ここは、3つ神社があるからお賽銭が大変なのよ」


と、その御夫人は笑って言った。


だから…



「そうですよね…ははっ」


と返事をした。



その御夫人が行くのを待って…


もう一度、石を置いてみた。


でも、やっぱり石は反応しなかった…



ここもダメだったか…



鈴は、いつ石を持って帰ったのか…



―――仕方ない…帰るか…



尊は、用意していた病室の写真の上に石を置いた。


そして目を閉じて…


目を開けると…そこは病室だった。



鈴は、相変わらず眠っている。



すると、看護師さんが来て



「ご主人、よく眠ってましたね。疲れてるんですね」


と言った。



神社に行っている間、俺は眠っているんだな…



「そうかもしれません…」


そう答えておいた。



こんな調子で…あと何か所の神社に行かなければいけないのか…


尊は、途方に暮れた…



でも、俺にできることはこれしかない…


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