婚約者のフリをするはずが、なぜか最強の騎士様からずぶずぶに愛されました
依志間ろと
プロローグ
その日、もう二度と出会うはずのなかった彼と再会し、同盟を組むことになった。
レールが敷かれた人生。明るい未来に期待することなく、恩返しという名目だけで生きることになったはずの私に、彼はこう言った。
「僕たちの目的は一致している。だから、君は僕と婚約をしたことにすればいい」
私たちは周囲を欺くため、愛し合ってもいないのに婚約を交わした。
もちろんそれはフリであり、正式なものではない。
私は時間が必要で、彼もまたそれは同じことだった。
しかし、こうなることを一体誰が予想できただろうか。
「オフィーリア、俺はずっとこうなることを望んでいたんだ」
彼の腕の中で抱きしめられながら、私は愛を囁かれていた。
これは偽りの関係であって、周囲に誰もいなければ、こんな小芝居などする必要もないというのに。
「愛しているよ、たとえ君が俺を愛していなくても」
まさか、本当に溺愛されているの──?
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