僕の好きな部長が最近チャラ男と仲がいい
HowYouDoing
第1話
「最近、京ちゃんがおかしいの。今までチャラいからって嫌っていたはずの西園寺のやつと連絡を取ってるみたい。」
昼休みに話があるからと文学部の部室に同じ、文芸部仲間の佐久間さんから呼び出されたと思ったら、いきなりそう切り出された。
京ちゃんというのは、この部活の部長をしている、佐田京のことだ。
黒髪ロングストレートのに切長の目をしたThe和風美人といった見た目をしており、才色兼備で常にクールであることから、高嶺の花として我が校に君臨している。
かくいう僕こと、佐藤仁義、一年の時から彼女に惚れている。
そんな彼女が、西園寺忠次、学年きってのチャラ男で女関係の悪い噂が多い男だ。
文学部に入ったときも佐田部長狙いだと自分からヘラヘラして話していた。
イケメンで家が金持ちのことから一部の人間からは人気があるものの、素行の悪さから佐田部長も嫌っており、やめさせたいが、顧問が事勿れ主義のためやめさせられないでいた。
一年生の時から、西園寺のやつは、佐田部長にアプローチをするものなしのつぶてだったはずなのに佐久間さん曰く最近2人はよく一緒にいるらしい。
「そうは言ってもあいかわらず嫌ってるかんじはするし、西園寺くんも部員だから部長として連絡をとっているだけじゃない?」
僕は信じられず、自分に都合がいい解釈を佐久間さんに言う。
「うーん、そうかもしれないけどさ、京ちゃんの、親友の私からすると、何かあると思うんだよね。」
そういうと、佐久間さんはこちらにぐいと身を乗り出し、こう誘ってきた。
「だからさ、2人をちょっとつけてみない?」
佐久間さんの情報で友人がいないはずの佐田部長が、人に会うからという理由で自分との外出を断ってきたこと、西園寺のやつが土曜日、遊園地デートがあると教室で自慢してたことからと推理して、僕らも土曜日に遊園地に行くことにした。
土曜日、佐久間さんと駅前で待ち合わせた僕らは、しばらく植木の影で隠れていると西園寺と佐田部長が来たことを確認し、衝撃を受けた。
なんだかんだで、佐田部長と西園寺のやつのことに関しては嫌な方に考えすぎだと思っていたから2人が現れたということもそうだが、1番衝撃を受けたのは部長の格好だった。
昔、部活の集まりで見た部長の私服は落ち着いた雰囲気だったのに、今の部長はツインテールに腹見せノースリブに、ショートパンツといったギャルファッションをしていて、脳が思わず同じ人間ということを認識できないような格好をしていたのだ。
僕らが呆けていると西園寺のやつが佐田部長の腰に手を回して、2人は歩き始め、遊園地に入って行った。
2人が見えなくなったところで佐久間さんが正気に戻り僕の脇をこづく。
「と、とりあえず追いかけるよ!」
僕らも慌てて遊園地に入った。
「やっぱりおかしいよ。京ちゃん明らかに嫌がってるもん!」
しばらく尾行していると佐久間さんが言い出す。
確かに西園寺のやつはずっとヘラヘラしているが、佐田部長はずっと仏頂面だ。
僕の願望がそう見せてるのかもしれないが、ベタベタする西園寺のやつから離れたがってるようにも見える。
「これは証拠の写真を撮って後で京ちゃんを問い詰めよう。」
そう言って佐久間さんは2人の写真を撮り始めた。
僕は内心の動揺からそれに協力することも、止めることもできなかった。
辺りが暗くなったことで満足したのか、2人が遊園地から出て、駅に向かう。
「私、京ちゃんと駅反対方向だし、証拠の写真も撮ったから今日は解散で。月曜よろしくね」
そう言って佐久間さんは去っていく。
僕もそう思ったものの嫌な予感がし、もう少し2人を追いかけることにした。
嫌な予感は的中し、佐田部長が最寄駅だと言っていた駅を過ぎても、佐田部長は降りず、西園寺のやつの最寄駅で一緒に降りて行った。
そして、駅から出てしばらく歩くいたところにある、恐らく西園寺のやつの家なのだろうマンションに2人で入っていた。
オートロックのマンションだったので、追いかけられず、一先ず佐田部長が出てくるのを待つことにした。
恐らくあの格好では帰れないから着替えてるだけだろう、少しお茶してるだけだろう、そう自分に言い聞かせているうちにも時間はずるずる過ぎていく。
……そして結局出てきたのは次の日の朝だった。
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