第18話 報告

さて、あらかたスキルのチェックはできたな。

スタンピードの報告にいこうかな。


「あらかた確認できたし、今回の遠征の報告に行こう」

「そうね…スタンピードのこと説明しても信じてもらえるかしら?」

「どうだろうね。少なくとも俺がその報告を聞いても半信半疑だな」

「そうね。私だってそうだもの」


そう。そのくらいに異常なのだ。

あの森にフェンリルが出ることが。

ちなみに俺たちはそれぞれのスキルで認識阻害の仮面を装備している。


「そうだ。リル、あと少しでこの街をでるよ」

「あら、どうして?」


リルは首を傾げた。


「あぁ、説明していなかったな。実は昨日の夢の中でこんなことがあって…」


俺は昨日の夢の中でヘルメスとどんかなことがあったか説明した。


「……つまり、私のもっている《戦乱軍神アレス》も昔の英雄の意志ってこと?」

「そういうことになるな」


なぜあのタイミングで覚醒したのかはわからないが、多分、《遊戯司神ヘルメス》に干渉されたのだろう。


「じゃあ次の行く街にはヘルメスのパーティメンバーだった人の意志が具現化したスキルを持っている人がいるのね」

「そういうこと」

「どこ?ここから近い?」

「商業国フェスティナだ。近くもなくそこまで遠くもない。馬車で10日ぐらいの距離だな。」


これでも一番近いところだ。

遠いところだと一ヶ月以上かかるところもあった。


「でも私達馬車なんて持っていないし、徒歩だと何日かかるかな…」

「そうだな…ちょうどこの街からフェスティナまで馬車で移動しようとしている人とかいないかな…」


俺が冗談で「冒険者ギルドに聞いてみるか?」というとリルが


「そうよ!その手があったわ!」

「え?!本当にいけるの?!」

「もちろんただでというわけではないけど、護衛という手があるわ。ついでに手頃な護衛依頼がないか探してみましょう」

「そうだな、そうしよう」


そうこう話しているうちにレオン達は冒険者ギルドについた。


「ギルドマスターと話したい。遠征の報告だといえばわかるはずだ」

「かしこまりました。少々お待ちください」


受付嬢は少し戸惑ったようだが了承してくれた。


しばらくして


「お待たせしました。どうぞこちらえお入りください」


相変わらずギルドマスターの部屋はセンスがいい。

俺も家作ったらこんな部屋作りたいな。


「…よく来てくれたな」


俺達の姿だけだとわかり察したらしい。


「…何がおきた」

「フェンリルが出現しスタンピードが起きました」

「なんと?!フェンリルが!?」

「俺達はカイルさんたちが弱らせておいてくれたおかげで倒せましたが、フェンリルの戦闘とスタンピードが合わさりカイルさん達は全滅だとおもいます。」


ギルドマスターは何か考え込んだ様子で


「早急にAランクパーティで調査チームを作ろう。

何か手がかりがあるはずだ。

よくこの情報を持ち帰ってくれた。約束通り報酬を出そう。それとランクの昇格の話だか、いくら弱っていたとはいえ、あのフェンリルを倒したんだBランクに昇格…と言いたいところだが一つ条件が足りなくてな……」

「条件ですか?」

「ああ、お前達はまだ一度も護衛依頼を受けておらんだろ?護衛依頼を受けてくれればBランクに昇格できるんだが……」


それならタイミングがいいな。


「それでしたらちょうど俺達もフェスティナに行くために護衛依頼を受けようと思っていたのでそれでいけるかと」

「そうだな。受付で報酬のついでに依頼を受けてくるといい」

「はい。そうさせてもらいます」



「こちらが今回の遠征の報酬です。」


金貨360枚。少し多めなのはボーナスかな。


「それと護衛依頼の受注お願いしていいでか?」

「かしこまりました。少々お待ちください」


「フェスティナに向けての護衛依頼あるかな?」

「ん〜…あると思うわよ。ここらでは一番大きい商業国だし」

「それもそうだね。あとは好条件のがあるか、だな」

「そうね」


「お待たせ致しました。これが今出ている護衛依頼です」


えーっと…フェスティナ行きがこの3つで…

往復は却下だから…残りの二つだな。


「リルどっちがいいと思う?」


一つが、よくある商会だ。日用品や冒険者向けの薬草などを取り扱っている。

移動は馬車で夕食は商店もち。報酬は金貨12枚だな。


もう一つは、商人じゃないみたいだな。

貴族みたいだな。名前はヘイム=ラウゼル。

何回か名前も聞いたのだがあるな。最近話題のイケメン議員らしい。移動は馬車で夕食は自費。報酬は金貨10枚。貴族なのにケチだな。


「こ、こっちの商会のほうがいいと思う。ほら待遇もいいし!」

「そ、そうか」


リルの推しが強いな…

でも確かに待遇もいいしこっちにするか。


「じゃあこの商店の護衛を受注します」

「かしこまりました。そのように手配しときます。この依頼は明日出発ですので明日の朝東の門に向かってください。」

「わかりました」


さて、これでフェスティナに行く目処もたったな。

しかも、馬車で寝泊まりもできるし、食事も向こうもち。

結構な好条件だな。

リルの推しが強かったのが少し気になるが、まあいい。

また、話のときに振ろう。

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