第2話 夢落ツル夜
「姫君、西の砦は完全に崩壊、王都は陥落寸前です。数年の不作によって民たちの生活は逼迫の限りを尽くしております。」
臣下の報告とともに実状に愁いてしまう。
私は自分のできることをするだけ。今日も変わらず純潔の身ひとつ、神に祈りを捧げるのだ。確かに効果はあるのかもしれない。祈れば神はいつでも応えてくれた。今回もきっと、、、やがて警笛とともに視界は赤に染まった。燃ゆる楼閣の中、祈りを捧げ続けた。一通りの儀式が終わった頃、臣下と共に秘匿の地下道から脱出を図った。敵兵の野次が聞こえてくる。
「いたかぁ」
「こちら、生存者無し」
崩れる祭壇を後にひたすら走った。
隠し扉から水路に出た。小舟に乗り、王都を捨てていく。冷たいモノだ。守るべき民を見捨てて逃げることしかできないのはどうしても不甲斐なさに打ちひしがれてしまう。
やがて、捜索船とともに、火矢が飛んでくる。見つかるのも時間の問題であった。
「我々は時間を稼ぎますので、姫君だけでもお逃げください。」
「何を言うておる、そんな、」
「いえ、祈りをできるのは姫君だけですから。✗✗✗姫、✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗✗。」
「いや、、」
「ご検討を。」
薄れていく視界、ツギハギの記憶の中、懐かしさを覚えた。
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