第18話

「んっ、、ふぁ〜、よく寝た」

私は目をこすりながら起き上がった。


「おはよ、」

瑞稀の声が聞こえた。

まさかここに瑞稀がいるわけ、、


「みっ、みず、瑞稀!?」

振り返ると、瑞稀がそこにいた。


「なんだよ?それより寝顔はいつにも増してブサイクだな」

瑞稀は笑いながら言った。


「やめてよ!なんでもういるのよ、いつもはもっと遅いくせに。人の寝顔勝手に見て文句言うな!」

私は顔を赤くしながら抗議した。


「昨日の今日だから心配だったけど、まぁ元気そうだな。あ、お前の好きなパン買ってきたけど食べるか?」


そう言うと私が一番好きなパンを差し出した。


私を元気づけるためにわざわざ…?

さすが瑞稀。モテるだけのことはある。


「うん、食べる。ありがと」


こんな事、私にだけしてくれたら良いのに...


ん…?

ん?


えっ、な、に...今なに考えてたの?


いやいや、幼なじみが取られたら寂しくなると思っただけ別に深い理由なんて、ない、よね?


うんうん。


「何してんだよ。早く来いよ」

瑞稀がキッチンから呼びかける。


「う、うん」

私は席に着いた。


「…もう元気か、?」


もうって、別にずっと元気だけど。


「ずっと元気だよ?風邪ひいたのは...もう3年ぐらい前?」


「バカは風邪ひかないからな」

瑞稀が冗談を言う。


いや、本気か。


「酷いな〜そんなこと言っておきながら、私が風邪ひいた時、心配して飛んで来てくれたじゃん」


私はその時のことを思い出して微笑んだ。


「大袈会、作業止めて来ただけ」


瑞稀は照れ隠しに言い訳をする。


「瑞稀があんなに焦ってるところ初めて見た」

梨華はその時の瑞稀の表情を思い出して笑った。


ふふっ。びっくり仰天してたな。


「だってお前死にかけてただろ」

「まぁね」


脱水症状で意識が朦朧としていた所を瑞稀が助けてくれた。


「それに、俺が一番焦った時は…、」

瑞稀が言いかけて止まる。


「え、あれ以上に焦った事あるの?」

「あー、何でもない。それより、昨日の事大丈夫か…?」


昨日…、

あーあいつか。すっかり忘れてた。


「あー、あれね。ほんとになんとも思ってないよ」私は軽く答えた。


「会社で嫌な事されたら直ぐ俺に言えよ」

瑞稀が真剣な表情で言う。


「そんな事言うなんて珍しいね。いつもなら梨華の方が強いか、とか言うのに」


驚いたけど、ちょっと嬉しかった。


「それでも一応梨華は女だから」

瑞稀が少し照れながら…?言った。


「一応なんだ」

私は笑いながら返す。


まぁ、確かに。


ここまで一緒にいたら性別とか関係なくなってくるもんね、

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