嵐が来ようとも

今夜の風は誰かの泣き声に聞こえる

森の木々はざわざわと震えている

空は真っ暗で月どころか星すら見えない

この世の終わりだと錯覚するほどに


いつも目にしている物や風景が全く違って見える


両親は仕事で不在

家には自分と愛犬だけ

布団をかぶり

小さな灯りを頼りにして

不安な気持ちをなんとか心の奥へ閉じ込める


不意に風がドアを叩き

隙間風が灯りを連れ去る


閉じ込めたはずの不安はまた溢れかけ

思わず隣にいる家族を抱きしめた



一緒にいるから。1人じゃないよ。大丈夫。



布団の中で感じる温もりが

一瞬で不安をどこかへ連れ去ってくれた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る