筆頭騎士様の夜伽係
蓮実 アラタ
※1 慰めは夜と共に
――はぁはぁ、と荒い息遣いが聞こえる。
それと共に何かを擦るような音に合わせて、ぴちゃぴちゃとたてられる卑猥な水音。
うっすらと灯される頼りない灯り以外には何も光源がなく、大きな窓からは遙か遠くに差し込む月明かりが目の前の光景にぼんやりと輪郭を灯す。
「くっ……」
月明かりに照らし出されたのは、背中でひとつに括られた銀髪を振り乱して美麗な顔を歪める一人の男。
精悍に整った顔立ちは無惨にも苦悶に歪み、細めた紫の瞳はやるせない欲望と僅かに残された理性の間で揺らめいている。
「ふっ……!」
男は右手をしきりに動かし、その度に苦悶とも愉悦とも、どちらともとれる息を殺した声が漏れる。
淫らにはだけた白いシャツから覗くのは鍛え抜かれた体躯。線が細いながらも分厚い胸板と時々走る傷跡は、それだけ彼がたゆまぬ努力をし、今の地位を手に入れたという何よりの証。
王国でも筆頭として数えられる騎士であり、将軍でもある彼は、しかし頼りない光の中で自らの行いに屈辱を感じながら、どうしようもない欲望に突き動かされ、自らの屹立を扱いて慰めていた。
「くぅっ……」
ぬらぬらと濡れる亀頭からは透明な雫が滴り落ち、それを潤滑油として手で自らの逸物を擦りあげれば、えも言われない快感が
逃れられない快感に打ち震えながらも、反り立った自らのものを擦る手を止められない。
「は……ん、くうっ!」
快感とそれに伴う吐精感が限界を迎え、竿の敏感な部分を擦りあげると、ビュクビュクと震え、白く熱い飛沫を吐き出す。
勢いよく出されたそれは、シミひとつなかったベッドのシーツを汚し、水分を吸収して広がる。
「はぁはぁ……はぁ……」
欲望を吐き出し荒く息をついた男は、吐精後のやるせない感情を抱えながら溜息を着いた。
「いつになったら、
自らに降りかかった呪い。
その証であるものを見下ろしながら男は思考する。
いつになったらこの欲望から逃れられるのだろうか、と。
男の鍛え抜かれた腹筋から覗くのは、淫紋。欲望を満たして怪しく輝く赤い紋様が月明かりでもハッキリと分かるほど光り輝いていた――。
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