第21話 島倉結の急襲
突然、スマホが鳴った。
太郎は、身体全体を動かして、山田美鈴のマウント支配(唇を含めた)から脱出した。
スマホを手に取ると、島倉結(純喫茶アラビカのウェイトレス、女子大生)だった。
太郎
「結衣さん、何かあったの?こんな時間に」
島倉結は怒っていた。
「その言い方、冷た過ぎません?」
太郎は、背筋が寒くなった。(何か約束したかもしれない、でも思い出せない)
「えっと・・・」
島倉結は、太郎のモタモタを許さなかった。
「今からお邪魔しますから、逃げないでください」
太郎
「えっと・・・看護師の山田美鈴さんがいるけど」
島倉結は、引かない。
「わかってます、そんなこと」
「看護を理由にした女狐ですよね」
太郎は、頭がグラグラとして来た。
下手な抵抗は、無理、と思う。
何より、島倉結の猛突進を避ける自信がない。
「お待ちしています」と、電話を切った。
山田美鈴も、困惑顔だ。
「あ・・・結ちゃんが来るの?」
「あの子、私より強いよ、うん」
「太郎先生、何かあったの?」
太郎は腕を組んで考えても、全く思い出せない。
「いいよ、結さんに聞く」
島倉結は、2分後に、太郎の部屋に入って来た。
(私服に着替えていた)(大きなカバンも持っている)
太郎の前で宣言をした。(山田美鈴がいても、おかまいなしだ)
「太郎先生、今夜から、ここに住みます」
「何から何まで、面倒を見ます」
太郎は固まった。
山田美鈴は、慌てた。
「あの・・・結ちゃん・・・それ、いきなり過ぎでは?」
「まず太郎先生の承諾があるの?」
「それと、結衣ちゃん、・・・ご実家のご両親の・・・」
「私も、他の人も・・・太郎先生を好きなの・・・そういうこと、知っているよね」
島倉結は、その豊かな胸をさらに張った。
「太郎先生の承諾?」
「心配ありません、無理やりでも、落とします」
「親ですか?太郎先生ならOKですって、とっくに了解済みです」
「他の女?関係ないです」
「ですから、今日から妻です」
そこまで言って、少し顔を赤らめた。
「お風呂もベッドも、一緒です」
太郎が口を開いた。
「お風呂とベッドはともかく、泊まっていくなら、準備はする」
「何人かは、泊まれるから」
(山田美鈴と島倉結は、「え?」と顏を見合わせた)
太郎は、ソファから動いて、壁からリモコンを取り、いくつかのボタンを押した。
すると、静かに重く、ゆっくりと壁が動いた。
そして、見る見るうちに、セミダブルサイズのベッドが二つ出来ている。
太郎は説明した。
「編集者が泊まり込む時があってね」
「そのために作った」
「壁にベッドを埋め込んだ」
「二人とも、泊まってもいいよ」
(山田美鈴と島倉結は、ポカンとなっている)
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