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 そんなある日のこと、あたくしは、腹部に妙な圧迫を感じました。脂っぽいものを食べ過ぎたのかもしれない。ストレスで荒れてしまったのかもしれない。思い当たる節は色々とありました。そのどれもが、平凡な日常の思い出でした。

 医者の不養生とはよく言うものです。あたくしは、エコーをとることにいたしました。腹にジェルを塗りつけ、機器を腹へ当てます。下腹部に変異はありませんでした。圧迫もそこには感じられません。

 あたくしが妙な圧迫を感じていたのは、胃の辺りでした。頭によぎる不安と戦いながらも、あたくしは、ゆっくりと胃に向かって機械を当てます。

 モニターに映し出されたものは――胎児の影でした。



第一章サンプルはここまでです。

この後の本編では、

傷口に指を突っ込み弄り回す、唇を重ね、舌を絡ませる、ヒトの肉を食べる等の描写があります。


次回は第二章サンプルになります。

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