空を飛ぶ鳥のように

青雨

プロローグ

                   プロローグ

                   

                   

 苦しげに喘ぐ男の顔にそっと白い布をかぶせると、赤いものがそこににじみ出た。

「血です。血の汗」

 乳母が苦しげに言うと、医者が側で顔を振る。

「手の施しようがありません」

 患者がまた、苦しそうに喘いだ。そしてまた、血を吐く。

 しぱらくして、廊下に叫び声が響いた。

「王弟崩御! 王弟崩御!」

 そして慌ただしい足音が回廊の向こうに消えていくと、あとは悲しげなすすり泣きが部屋のむこうから聞こえてくるのみであった。

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