友達が増えたんだよ

俺たちが向かったのは今朝食べた串焼きの店。まあ、ガイアに買う約束してたしな!


「おじさん!まだやってる?」


「おう!朝の坊主じゃねーか!無事に帰ってこれたようだな!」


「お陰さまでね。それで、思った以上にうまく行ったからこれから打ち上げなんだけど、差し入れに大量に購入しても大丈夫ですか?」


「おー!羽振りがいいね!いいぞ!10本でも20本でも言ってくれ!」


「じゃ、15本!」


「まかせろ!そうだ、肉ばかりだと体に悪いからな!おーい、真向かいさん!」


「まったく聞こえてるよ。それでどうだい坊や?。うちのサロルはさっぱりしてるから、相性抜群だよ。」


そういいながら既に作る準備。すさまじい行動力と自身だ。


準備した薄い皮(たぶん小麦かトウモロコシ)の上に千切りにしたニンジン、キャベツと、とうもろこし、ほぐした蒸し鶏を順々に乗せていく。最後に少しとろみのある、白いソースをたっぷりとかけて。くるりと巻いて、斜めに切ったら完成。あ、これはうまい(確信)


(アル!こっちもすごくおいしそうなんだよ!)


見た目はトルティーヤのそれ。具材としては生春巻きといっかんじか?どちらにしろ買いだな。


「きれいな断面ですね。食べるのがもったいなく感じます。」


「そうだろう。でも一口食べたら、そんなこと言ってられなくなるぐらいうまいよ?」


「それじゃあそっちも3つ!」


「あいよ!少し待ってなね。」


ちなみに最終的におまけがいろいろついて、串焼きが18本、サロルが5本になった。なんでも今日は店じまいするから余ってる分も全部入れてくれたらしい。


「いろいろサービスしてくれてありがとうございました。」


「おう!また来てくれや!」


「そうだね。その時はうちもお願いね。」


「はい!」


(アル!早く向かうんだよ!)


思った以上に増えた荷物を両手に抱え、俺は魔道具店へと向かった。



「アルっちいらっしゃい!うわー結構買ったね!」


「思った以上にサービスしてもらってしまって。気が付いたらこんな感じになってしまった。」


シルビアに案内されながら商店として利用している部屋を抜け、住居エリアへ。店の方は所狭しに魔道具などが置かれて、ごちゃごちゃしているのに対し、こちらは少しの観賞植物が置かれただけのさっぱりとした内装をしている。なんと言うかエルフっぽい。


「あ、店と違いすぎてびっくりしたっしょ?この辺はうちとママがやってるんだ☆」


「落ち着きがあっていいな。正直俺にはその辺センスがないから素直に尊敬する。」


「そこまではっきりと言われると少し恥ずかしいし。あ、ここだよ!兄貴!アルが来たし!」


「ああ、そこに座ってくれ。」



どうやら俺が最後であったようだ。既に机の上には様々な料理が乗せられている。そこに俺が持ち込んだものを並べて準備完了。


「あ、今日はママもパパもいないし、みんなで大丈夫だし!」


ということだ。出てきたらどうだガイア?


(なんかこんな人目の中で出てくるの…少し恥ずかしい…)


何故に今さら恥ずかしがる。さっきは普通に話してたんだから普通してればいいじゃん。えっと、確かこんな感じに…えい、


(な、なんでアルが私の召喚をできるようになってるんだよ!)


いや、なんか神装と同じ要領でできた。それに抵抗もすくな(それ以上は言わせないんだよ!)


「…お邪魔します…なんだよ…」


「「ガイア」っち」


「ちょ!二人とも…!」


そして一瞬で女性陣に身柄を拘束されるのだった。というか扱いが完全に人形である。そのまま、机の上の半分を占拠する、スイーツへとしかかる。


「ガイア。これうちのおすすめだし!」


「これは私のおすすめです。どうぞ。」


「どっちもおいしそうなんだよ!」


かくして、姦しくも楽しい打ち上げが始まった。


「この肉うまいな。」


「そうだろ。今朝ギルドの傍で見つけてね。その向かいで売ってた、このサロルもいいぞ!」


サロルは想像通りかなりさっぱりとしていた。かけられた自家製ソースはヨーグルトベース。僅かにする柑橘系の香りがとてもいいアクセントとなっている。


「そうか。今度訪れてみよう。それはそれとして、どうするんだあれ?」


「いや本当に、なんでこんなに集まるんですかね?」


俺はシルビアに預かって貰っていた卵を撫でる。なお、まとめて殲滅していたのでなんの卵か不明。まあ、高確率でフォレストビーのものだろうが。


「まあ、あれだけの数を倒せばこうもなるだろ。折角だから今羽化させるのはどうだ?まあ、蜂系の魔獣だろうが…」


「なになに!アルっち羽化させる感じ!まあ、蜂系の魔獣だと思うけどね☆」


「あ、羽化させるんですね。何が生まれるのか楽しみだね。多分蜂系の魔獣だと思いますが。」


どうやら、皆思うことは同じらしい。まあ、文字通りキル数が桁違いだからね。とりあえず魔力を送ってあげてと。


そして案の定生まれた、小さな翼の蜂系の魔獣は周囲の意見を参考にメリーと命名されるのだった。

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