異世界転移から始まる僕の牧場生活
クスノス
異世界なんだよ
「…は?」
俺こと、龍田流星は困惑している。なぜかって?だって、いつものように、起床したら全く知らない場所にいたら、誰だってこの反応になるだろう?とりあえず頬をつねって…うん痛い!
俺は改めて周囲を確認するが、見えるものは豊かな自然だけ。まじでここどこなんだ!
ガサガサ
そんな俺を追い打ちするように、背後の草むらが揺れた。まさか野生動物か?そんな予感に、俺は恐る恐る振り返る。
「ぎゃぎゃ!」
汚い声をあげるそれの肌は緑色で、顔には肥大した鼻。あ、俺これ知ってる、ファンタジーの定番のゴブリンってやつだ…
ということは俺、異世界に来たってことか!?
「いやそれよりも、ゴブリンが来たということは!」
「「「ぎゃぎゃ!」」」
ですよね!ゴブリンが1匹だけでいるはずないですよね!とりあえず今は逃げるしかない!
果たして俺はどこに進んでいるのだろう。わからないが、ここで止まったら確実に殺されることだけはわかる。なので必死になって走り続ける。頼む俺の体力よ持ってくれ!!
幸い今日の俺の体は絶好調!100mも走れば息の上がる貧弱体力なのに、未だに逃げ続けられている。でも、結局どこかでどうにかしないとやられるわけだけどな!
(こっちだよ)
今度は何!?ファミチキくださいか!?
(だいぶ混乱してるんだよ…とりあえず後100mがんばるんだよ)
なんかよくわからんが後100m走ればいいらしい!まあこの声の主が味方って保証はどこにもないけど!でも、俺の直感はこのまま走れと言っている。というか反転してもゴブリンしかいないので選択肢など初めからないのだ!
しばらく走ったところで視界が開けた。そこにあったのはボロボロの社。他には何もないし、多分あそこがゴール!
(ほら急ぐんだよ!)
これで、全力だよ!
「「「ぎゃぎゃ!」」」
「てか、こいつらもしつこいな!」
文句を言いながらも俺は社へとたどり着く。
で、ここからどうすればいい!?なんか飾ってあるこれか?これだな!??(みんなはよくわからないものは触らないようにしようね)
混乱しながら、社に飾られていた黒とも白とも言えない不思議な球体にてを伸ばす。瞬間、周囲に光があふれた。
「今度は何!?」
光が治まったところで、俺は自身の不安をかき消すように叫んだ。
「ようこそ。ここは、私の精神世界だよ。」
先程まで脳内で響いていた声が、きちんと空気の振動として聞こえる。やっとその顔が見れ…る?
そこにあったのは長い首に、2対の翼。全身にまとった鱗は爬虫類のようで、その顔には知性を感じさせる金色の瞳。それはゴブリン以上に有名で、そして絶対的な存在。
「ドラ、ゴン…」
まさしく西洋で描かれるドラゴンそのもの。あらゆるファンタジーで最強と語られる存在、それが俺の前にいた。
「そうだよ。改めて自己紹介するよ。私は神龍が一人。そしてあなたをこの世界に召喚したその
「待て!次々とツッコミ個所を作らないでくれ!頼むから」
自己紹介と罪の告白を同時に行うという高度なボケをかました目の前のドラゴン…だめだ、状況を整理するとツッコミどころが増える。仕方ない、今は受け入れよう。そして、この会話が終わった後にしっかり問い詰める。
「そういう割り切りの良さ私は好きなんだよ。それと君は私を知るのは初めてかもだけど、私はあなたの話をずっと聞いてたんだよ?」
「え…?どこで?」
「ほら、地球にいたころによく来てくれた神社。あそこでの出来事は私も見ることができるんだよ。」
曰く、この世界は地球で修業した神々によって作られたそうだ。で、ガイアは俺の家の近くにあった神社で修業いた縁で、ここに来る前に分霊を置くことを許可されたそんだとか。うん、なんとなく理解したぞ。でも、それは拉致の理由にはならんがな!?
「あ、別に意地悪で連れて来たんじゃないんだよ?だって君、あの日の夜、私の前に来たと思ったら突然倒れるんだもん。なんか痙攣してたし、多分そのままにしてたら死んでたんだよ?」
「…まじで?」
「まじなんだよ!?だから私が君に使命を与える形でこの世界に呼んだんだからね!?」
まじかよ…確かに昨日は仕事が終わって、そこから…だめで何も思い出せない。でも、そうか…
「ありがとうございます。」
状況を理解した俺はまずは頭を下げた。いやこんなことをしている時間がないことは知っている。故にこれは俺のけじめという名の自己満足。そうしてしばらく頭を下げた後、俺は頭を上げ真っすぐとガイアを見る。
「うん。満足したようだね。じゃあ、まずはゴブリンをどうにかしないとなんだよ。大丈夫、私と契約すれば解決なんだよ。」
かくして俺は目の前の龍と契約した。
「それじゃ、戻ったら私の名前を呼ぶんだよ?そしたら私が何とかするから!いい私の名前は…」
「来て!ガイア!」
世界が戻ると同時に俺は教わったその名を叫ぶ。瞬間、俺を中心として生まれる
「はーい!お掃除の時間なんだよ!」
次の瞬間にはゴブリンは跡形もなく消えてなくなった。
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