ありふれた世界に感情を

@tokumeiS

序章 1話 正義(透side)

僕の名前は、佐々木透。

僕は平凡な人間だ。

自慢するならば、全高1位の偏差値を誇る学校で成績が上の中なところかな。

本当に平凡すぎる。

──いや、だが今は平凡から不幸な人間に成り代わった、かもしれない。

家族が、殺されたんだ。


「お、お母さん……?」

出た声は震えた、か細い声だった。

それは部活に帰って、お腹が減ったなあって思っていた頃。

玄関を開けたら血塗れのお母さんが倒れていた。

「え、お母さん!?」

揺さぶる。だが、反応は無い。

何故ここに?どうして?誰に?

他の、家族のみんなは?

──他のみんな。

「茜!?父さん!?2人ともどうしたの!?」



妹の茜も、父さんも倒れていた。


もっと詳しく言えば、死んでいた。


「どうして……?なんで、なんで……」

トン、トン。と足音が聞こえる。

「誰だ!」

「あっれ〜?君は、この家の人かなあ?」

背後で声がする。

血塗れのナイフを持った男がいた。

「誰だ!」

「……この家の人間かな?」

強い圧を感じる。

こいつが犯人なのか?だとしたら死んで欲しい。

家族を殺したやつ?だとしたら自分も対象内?

「そうだよ、この家の人間だ!」

「そっかあ……じゃあ死んで?」

自分も、対象内かよ!!

甘ったるい喋り方に、怒りすら感じる。

ここで死ぬ?呆気なく?

男はナイフを大きく振りかぶっている。

そのナイフは、綺麗な赤色の煙を帯びている。

「そういうことかよ……!」

最近発見された「突然変異種」。

元人間が何者かの手によって変えられた人間を超越した存在。

その際の「感情」の特性を使って攻撃をしてくる。

赤は「怒り」攻撃力特化型で攻撃は凄まじいが隙が多いのが特徴。

馬鹿は死ね。

殺してやるよ。

「隙だらけなんだよ」

男の方へ手を伸ばして力を込める。

僕は、みんな殺したやつを許さない。

「は!?お前も突然変異種かよ!」

男は焦った声を出したがもう遅い。

その時には男が蒸発して消えていた。

ちなみに僕が使ったのは「正義」。


「悪の感情は、許さない」

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