第2話 無垢

人は余裕がなくなれば

容易く獣に堕ちるのだ

騙し壊し汚し隠し

その癖余裕が生まれれば

己の罪に苛まれ

首が次第に厭わしく

心のありかを探すのだろう


獣に堕ちるその時が

今か今かと牙を見せ

今この時を生きれぬならば

己の命の価値を下げ

善も悪をも許すがいい


善人にも悪人にもなれず

責務を果たせぬ代わりに

権利も主張せず

生きるのは辛く

死ぬのが怖い

なんとも哀れな者に成り


私は他人を愛せても

決して個人を愛せない

名前の価値も捨て去れば

それが優しき無垢である

自分に怯えて生きていこう

孤独でいるのが正解だ

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