I love you💎

「あの、ね」

 漆黒の髪を陽の光に煌めかせながら、窓際で剣の手入れをしている姿に、やや離れた位置から話しかける。

「何です?」

 しかし質問された方は、座っていたところから動かずに手を拳にして膝に置いたまま俯いて微動だにしない。

 明るい長い髪の毛に隠れて顔がよく見えないが、唇がわずかに動いたようである。それを見てとり、やはり何か言ったのだと首を傾げる。

「すみません、よく聞こえなく」

「……き」

 耳を澄ませたがやはり聞こえない。自分の耳は小さな獣の声すら聞き逃さないはずなのだが。

「もう少し大きな声でおっしゃってく」

「好き、だって、言ってるでしょぉっ!」

「はいっ! え? うあ、えぇ!?」


***


 ユークレース💎 王女と鳶色の眼を持つ従者。

『楽園の果実』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894170460

 

 ラピス、面と向かっていう機会を計らっていたらしいです。

 また彼らを書けてちょっと嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る