第8話 特訓の成果

 あ、やばい。どうしよう



「さぁ、キリキリ吐いてくださいまし。ライオン仮面」

「ら、ライオンフィッシュ竹中……」

「どっちでもいいですわ! ライオン仮面」




 まさか、能面を脱いだところがバレるなんて……て言うかなんでこんな人がいない場所にいるんだこの主人公。



「あ、あのなんでこんな人気のない場所に」

「そ、そりゃ! 貴方様に手も足も出ずに負けたのが悔しくて泣いてたからに決まってますわ!! って言うか、なんで状態異常が効きませんでしたの?! 火傷状態になるアクティブスキル使ったでしょうに!!」




 あ、【姫マル】の




「技名」【火の舞】

「威力」15

「範囲」単体

「消費魔素」30

「追加効果」

「命中率」80

「備考」なし

「系統」火




 このアクティブスキルを使ったのに平然とヴェルディオンが戦っていたことが謎なのか。



 


【パッシブスキル】

【輝く無の肉体】

・状態異常にならない。全てのダメージを20%減少。




 正解はこのパッシブスキルがあるからなんだよね。ただ、このスキル



【通常】のヴェルディオンが覚えるパッシブスキルじゃないんだよね。



 パッシブスキルには【ユニークパッシブ】と言う概念がある。これは通常の個体なら備わっているスキル。


 それが【進化】して通常とは違う効果が異なる珍しいスキルである。



 ──俺のヴェルディオンは【ユニークパッシブ】を持っているのである。


 エキシビションマッチの【クサウチ】の【ヴェルディオン】の場合は通常の【パッシブスキル】。



【頑丈な鉱石体】

・一度だけ生命がゼロになる攻撃に耐えられる



 になっていたはずだ。まぁ、毒で倒したから今回はあまり目立っていなかったけどね。


 火力向け育成すれば役立つスキルだ。



 恐らく、通常のパッシブスキルを知っていたから、混乱をしてしまったのだろう。


 まぁ、知らなくても無理はない。【ユニークパッシブ】は【通常のパッシブスキル】をクリア後に入手できる【特殊な木の実】を与え、スキルを進化させることで入手ができるからだ。



 クリア後、しかも隠し要素だからね。主人公で序盤の彼女が知らなくても無理はない、




「あ、あ、えと、た、、偶然みたいな……」

「ちょっと下ネタやめてくださいまし! 恥ずかしいですわ! ワタクシお嬢様ですのよ! ば、ばか! だなんて!!」

「え?」




 あ、この子、12歳の思春期なのか。妄想力だけは凄いな。




「あ、はい」

「それで! どうやって状態異常を防いだんですの!」

「あ、な、内緒」

「くっ、確かにタダでそんな有益な情報を漏らせないですわよね! なら、せめて名前ならいいでしょう?!」

「あ、だ、ダメ」

「言いますわよ! 仮面の下のこと!」




 お、おどしだ。この12歳、既におどしを覚えている流石は主人公。



「で、でも、どうしても言いたくないなら言わなくていいからね? あ、あんまり無理に、き、聞くのもダメだし……」




 さ、流石は主人公、ちゃんと人格形成している。



「あ、えと」

「あ、その、本当に無理ならいいですよわ。ワタクシだって脅しとかはしたくないし。ただ、言ってくれないと、もしかしたら口が滑るかもって言ってるだけですわ」

「あえ?」



 やっぱり脅してるよ。



「そ、そんなに知りたい、ですか?」

「ええ、強いし! ゴッドリーグに行きたいですもの! お父様とお母様を越すの! 絶対にね!」

「そ、そうですか、名前は……い、イヴって言います」

「そう! イヴね! いい名前ですわ!」

「あ、あ、ありがとございます」




 アムダだけど……ま、まぁ、三文字違いくらいの名前っていうか。一文字少なくなって、二文字名前違うだけだから、せ、セーフかな?


 バレたらめっちゃ怒られそうだけど




「ねぇ、連絡先も交換致しましょう」



 ず、図々しい……この主人公。まぁ、確かに主人公はガンガン進むからこれくらいの図太さがないとやっていけないのかもな。最終的にモエは


大地を創造する【テラゴラム】。海の声【ウミノゾア】を捕獲するからこれくらい図太くないといけないのかもしれない。俺は二体ずつ持ってるけど……こんなに図々しくないけどね……





「え、エレフォン壊れてて……」

「そう! なら今回はいいですわ! 今回は! 今回はいいですわ!」



 なぜ三回今回を強調させる……




「それにしてもイヴ、コード・バトラーのクサウチに余裕の勝利だったですわよね」

「ま、まぁ、俺のエレモンは凄いから」

「同じ個体でも育て方とかであんなにも変わりますのね。でも、あれって【S】ランクでしょう? 言うこと聞かない場合もあるでしょうに!」




 そういや、ランク高いほど言うこと聞かない設定がある。やっぱりエレモンは野生って感じだから、自由奔放な面あるよね。


 弱肉強食の環境だから、自分より優れた奴でないと言うこと聞こうと思わないのかもしれない。



 【捕獲】をしたら言うことを聞くエレモンは弱肉強食的に捕獲されたのだから自分より優れていると思っているのか……?



 まぁ、そんなことを今考えても仕方ない。



「ねぇねぇ、武者マルは今いらっしゃいますの? ワタクシの姫マルが会いたがってますの」

「あ、い、います」

「そう、出してもらえますか?」

「それ、くらいなら」




 俺はエレフォンから武者マルを出した。



「むしゃ!」

「あら、エレフォン壊れてないですのね! 今回はいいけど! 姫マル、出てきてくれましたわ!」

「ひしゃ!」



 あ、今回四回目……まぁ、いいか。武者マルのメスが進化した姿【姫マル】は俺の武者マルを気に入っているらしい。


 二人で戯れあっている姿が可愛らしい!!



「イヴ様の指示はなんだか不思議でしたわね。左とか、一番とか言ってたような?」

「あ、は、はい」




 

 そう、確かに俺は【クサウチ】との対戦中に【左2】や【一番】と言う言葉でエレモンに指示を出していた。



 実はこれには理由がある




 ──その理由はゲームとは違うバトルシステムだった




 これに尽きる。ゲームであればターン制バトルで一度ずつアクティブスキルを使用し、確率で勝手にスキルを避ける場合があった。



 しかし、実際にこの世界のバトルは回避も指示しているし、スキルを使用するタイミングもテイマーの指示だ。



『グレン選手! 圧巻の勝利! ゴッドリーグの中で圧倒的な力を誇ります!!』



 この大会に出る前にテレビやエレネットで色んなテイマーの勝負を見ていた時からそれに気づいて、そっからは俺の指示の特訓を重ねていた。



 エレモンは一度に四つのアクティブスキルを持てる。それに一番から四番まで番号を振って、覚えさせる。


 そして、避ける際はリングを一メートルで一マスで区切って指示を出す。


 これを島でずっと特訓をしていた!!



 しかし、今回気づいたのは判断と指示の速さがまだまだであったこと。



 反射神経を磨く訓練をしたり、視野を広げたりとか……


 昔はゲームの画面だけで良かったけど、今はリング全体が見るべき場所なんだと実戦で分かった!!



 まぁ、俺のエレモンは最強だから指示とか逐一出す必要って本当はないんだろうけどね!!


 ただ、優れたエレモンなら優れた指示でないと聞きたくない。


 俺だって、優れたテイマーにならないと!!





「え、と、俺の指示は特徴的かもだけど、一々長いスキル名は面倒っていうか」

「あー、なるほど。でも、スキル名の方が覚えやすそうですわ。他の人も使ってるから、エレモンも覚えやすそうだし、真似も出来ますし」



 ふーん、まぁ、それぞれ色々と事情があるんだろうねぇ。



「え、えとモエさんもこの間から少ししか経ってないのに大分育ててましたね」

「あぁ、ミラーマンはこの間、実家に帰った時お父様から貰いましたの。あとはミニオウイカ捕まえて50回他のミニオウイカ倒して、姫マルは普通に進化させましたわ!」


 ミニオウイカは他のミニオウイカを50回倒すと進化するんだっけ?


 【進化】、条件を満たすことでエレモンが別姿となり名前も変わること。進化すると進化ボーナスがあるけど。逆に【退化】も存在する。


 進化前の姿に戻すことを言う。俺の武者マルも退化させているのだ。


 ここは人によって好き嫌いがあるからな。進化させてそのままか、退化にして懐かしさを楽しむか。退化すると進化ボーナスがなくなるからステータスが下がるけど。


 それを差し引いても俺は武者マルのままがいいんだ!!



 おっと話が脱線した。つまりこの短い期間でだいぶ戦力を高めたのか、やるなぁ。流石は主人公。





「ミラーマンは【B】ランクですわよね? いうこと聞いてくれて良かったですわ! やっぱりワタクシの魅力かしら?」

「あ、そそうですね!」



 

 やっぱり主人公な彼女だと他とは違う魅力があるのだろうか? だからエレモンもいうことを聞くのだろうか?



 


「あ、そうでしたわ! この間のお礼にご飯奢りますわ! ガイア帝国から助けてくれましたし!」

「こ、この後用事あって……」

「えー! なんで! 色々話聞きたいですわ!」

「あ、はい」

「ちょっと! はいって言いながらなんで距離取るんですの!!」





 その後、なんだかんだでテレポートでなんとか帰った。


 よし、島の開拓をもう一回をするぞ!!







 



 




────────────────────────────

読んでくれてありがとうございます!

ほかといくつか連載を並行して考えていて、ウケるようならこの作品の続きをさらに書いていきたいと思うので、続きが読みたい!とか、中々悪くないかも、という方はぜひ評価お願いしますm( )m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る