第4話 原作主人公はどう思っていたのか

 ワタクシが会ったのは



 黒ジャージ、黒マスク、オドオドしてて目線を中々合わせない大人しそな男の子。歳は12歳のアタシと同じくらいだろうか。


 銀髪で所謂ウルフカットみたいな長めの髪型。目元が隠れているがチラリと蒼い綺麗な瞳が特徴的だった。



 エレモンとは凄く話しているのに、ワタクシが話すと眼を合わせるのも躊躇う男の子。


 

「むしゃ!」

「おやつ食べる?」

「むしゃー!」



 すっかり【戦闘不能状態】から回復をしたワタクシの武者マルがおやつを食べている。


 彼が【復活措置】をしてくれたからなんだけど。




 人慣れしていない様子、幼い歳、これらを照らし合わせると浮かび上がる推測は……あの子は駆け出しテイマーである。



 そう、ワタクシと同じ武者マルを持っている……駆け出しテイマー……?



 いや、疑問がある。先ず【復活措置】はエレフォンでないと出来ない、アクティブスキルにての復活措置は聞いたことがない。


 あの【ホーリーマジックモン】、お父様だって持ってたけどあんなスキルはなかった。


 お父様はゴッドリーグで活躍をしていた伝説的なテイマーであったはず……レベルもステータスも大きくて育成に関しては誰よりも上手だ。そのお父様でも知らないスキルを持っているのは?




「ねぇ、武者マル。あなたはどう思います?」

「むしゃ?」

「あの人……駆け出しテイマーだと思いますか?」

「むしゃ?」

「でも、パパのホーリーマジックモンでも使わなかったスキルでしたわよね?」

「むしゃ?」




 ワタクシが首を傾げると合わせて首を傾げる武者マル。



 あら、可愛い。



 ああ、そうだ。武者マルもだ。




『いいか、モエ。武者マルはこの近辺では生息していない。この武者マルは以前ゴッドリーグで試合をする際に他国に行った時に捕獲したんだ』



 


「ねぇ、武者マルこの近辺に仲間はいますの?」

「むしゃ?」




 いや、居るわけがないか。一応、エレフォンで検索をしてみよう。お父様が言っていた



『エレフォンは【エレネット】にアクセスができる。ここでは多数のエレモンの情報が記載されている。その【エレネット】には【図鑑】の項目があり、そこで更に詳しく見ることが──』




──【エレネット】にアクセスして





「あ、お父様のまとめサイトもある。プロリーグとかの情報もありますのね。お母様のファンクラブも……まぁ、二人は有名人だから普通のネットでも情報はありますわよね」




──なるほどね。普通のネットにもエレモンの写真とかは載ってる。だけどそれよりも詳しい情報とかが載ってるわ。【生息範囲】と【ステータス】も出せるのか。





「なるほどですわ。図鑑とかに自分の登録して、エレネットからステータス解析アプリをダウンロードとかも……」




──【図鑑】を見て




「やっぱり、武者マルの生息地域はこの近辺じゃない! ってことは!」

「むしゃ!」

「ここから推測できるあのテイマーは!!」

「むしゃ!!」

「……な、何者になるんですの?」

「む、むしゃー?」






 他国から引っ越してきた駆け出しテイマー? でも、なんであんなに強いのかしら?






◾️◾️





「ホーリーマジックモン。運んでくれて助かったよ。種子もこんだけ多いと一人じゃ持てないからさ!」

「……」




 白衣に包まれた全長1.5メートルのエレモン。背丈ほどの大きさの木の杖、それを持っている。顔は白ローブで見えない。だが時折、白ローブの中からLEDライトのように綺麗に光る瞳が見える。



 基本的に無言。だが、親指を立てて問題ないって感じでアピールをしてくれている。



「ダンディだなぁ! 最近どう? 彼女とかできた!?」

「……」

「えぇ!? できたの!?」




 親指を立ててるってことは出来たのか!? つ、作ったのか!? 俺よりも先に彼女を……!!



「……」

「あ、ごめん、出来てなかったのか」



 両腕でバツ印を作ったので出来てなかったんだろう。うむ、レベル120だし優秀だからモテるのかもなぁ。



「今度、ホーリーマジックモンの生息地域に行って合コンでもするか? お前オスだから、メス個体集めて」

「……!」

「いやいや、そんな遠慮するなって! 俺とお前の仲だろうぉぉ!! お前が相手を見つけたら結婚式をしようぜ! あー、この島に式場も作りたいな!」

「……」

「うむ、取り敢えずはこの種子を埋めるか。それじゃ、ありがとな!」





 エレモンも彼女が欲しいのか。俺はいらないけどねぇ! エレモンがいればさ!!



 取り敢えずは種子をファームモンとガーディモンと一緒に蒔くかね。



「武者マル〜! お前も手伝って……あ、海辺でホーリーマジックモンと遊んでる」



 ふっ、邪魔するのも悪いかね? サッカーをしてるみたいだし。



「テイマーはクールに去るぜ。さーてと蒔きますかね」



 ファームモンとガーディモン。このエレモン達はグラスエレモン系だ。植物系とも言われている。


【エレメンタルモンスターズ・パラダイス】における人気項目の一つである



──【エレモンバーサス】



 エレモン同士を戦わせるバーサス。この勝負に勝つにはエレモン同士の系統を理解することが勝利につながる。



 【系統】とは相性みたいなものだ。炎は水をかけると消えるみたいに炎を出すエレモンには水のエレモンを出すとバーサスが有利に進む。



 エレモンには十の系統が存在してる。

 

 


1フレイムエレモン系(火系)

2グラスエレモン系(植物系)

3アースエレモン系(地系)

4サンダーエレモン系(雷系)

5ウォーターエレモン系(水系)

6ライトエレモン系(光系)

7ダークエレモン系(闇系)

8ドラゴンエレモン系(龍系)

9ロストエレモン系(喪失系)

10オメガエレモン系(未知系)



 十にはそれぞれ、【他系統】に対する有利系統アドンバンデージ不利系統ディスアドバンテージがあるのだ。



 武者マルは【火系】、テラゴラム【地系】、ファームモン、ガーディモンは【植物系】、ホーリーマジックモンは【光系】だったな。



 これを覚えないとバーサスで勝てないから覚える! 火は水に弱い、水は雷に弱い特徴とかあるけど……


 まぁ、序盤の敵は……


1フレイムエレモン系(火系)

2グラスエレモン系(植物系)

3アースエレモン系(地系)

4サンダーエレモン系(雷系)

5ウォーターエレモン系(水系)



 これしか出てこないからね。しかもこう言う属性はよくある設定だから覚えやすくて助かるな。火は水に弱いとか、分かりやすい!


 




──さて、【系統】には他にも特徴がある。そして、バーサス以外のことをする際にも必要な要素なのだ。




 例えば【エレメンタルモンスターズ・パラダイス】において、人気やり込み要素の【島クリエイトシステム】。



 自分で島の内部を作っていけるのだが、島内部での力を借りるのが効率よく栽培できるコツだったりするのだ。




 だからこそ……




「ファームモン! ガーディモン! 頼むぞ!」

「ふぁむ」

「がーでぃ」




 ファームモンとガーディモンの力が必要なのである。因みにレベルが高ければ高いほどに栽培のスピードが上がる。


 

 だからこそ、俺は沢山捕獲して育てていたのだけど





「このゲーム情報がどこまで、この世界で反映されているのか……それが気になるなぁ」




 武者マルが植えた種子と、植物系のエレモンが植えた種子。同じ植物系でもレベルでどこまでの差が出るのか。




「これは調べておきたいから、武者マルに来てもらいたかったけど……まぁ、サッカーしてたしねぇ!! うむ、しょうがない。他のエレモンも力借りるかぁ」




 あと、人間である俺が植えたらどうなるのかも調べておくかねぇ。




「よーし、ファームモンは右側、ガーディモンは左側で畑を作ってくれ! あと、レベルが高い順に種子を縦に並べてくれ!!」




 えーっと、これが120レベルカンストのガーディモンの植えた場所だから……植えた場所に誰がやったか看板でも立てたほうが分かりやすいな。



 こういうのってノートとか作ってちゃんとまとめがほうがいいよなぁ? 




「あ、エレフォンって、メモ帳とかあるのか。ゲームだとゲーム進行に必要な限られた部分しか使えなかったけど。普通にスレとかブログとかもあるんだぁ」




 あ、ブログ……うーむ。やりたい……こ、この可愛い俺のエレモンを世界に自慢をしたい。



 でも、バレたらバレたで大問題になるかもしれないしなぁ。こいつらの生活が急にザワザワすると最悪だし。




「俺とこの場所が特定出来ないようにして、自慢するならありかな? いや、やめておくかぁ。バレて面倒は嫌だけど、匿名で出して俺のエレモンの素晴らしさを自慢したいなんて良いとこ取りは我儘だしな」





 まぁ、それは後から考えよう!! 




 それよりもまずは種子を埋めるか!!





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