私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~

景華

現実はいつも残酷だ

第1話 初めて彼氏ができました


「へ? えっと……今、なんて?」

「だから、さ。俺と付き合ってよ。水無瀬」


 聞き間違いじゃなかったぁぁああっ!?

 連日の残業で耳がおかしくなったかと思ったけれど、再び彼の口から出た言葉に、私はそれが現実だということを理解した。


 村上優悟むらかみゆうご

 私の同期で、人懐こくてカッコ良くて、この部署の人気者だ。

 そして私の思い人でもある。

 入社して3年間。

 ずっと私は彼に恋している。

 そんな意中の相手からの突然の告白に、舞い上がってしまったのは言うまでもない。


”こんな人気者が、暗くて部署で浮いている、仕事しか取り柄のない私に告白なんてするわけない”


 そんな考えに至ることもなく、私の答えは迷うことなく──。


「う、うんっ、よろしく、おねがいしますっ!!」


 ──即答。


 水無瀬海月みなせみつき、27歳にして初彼ができました。


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る