第2話 悲しみを新しい決意と変えて収穫する
彼の目は、ともすれば曇りやすい。不安がちな日々の生活は、彼に空虚(
うつろ)な安らかさを与えているきりだった。
彼は今、未知なる自分の命令に従って、何処までも歩き続ける砂漠の旅人のようなものだ。彼は狂おうとした。何に? 彼を幸福にする唯一のものに。
「今の僕に一番入用なのは……愛だけなのだ!」
確かめるようにそれを彼は耳元でささやいた。彼はなるたけ一人で生き抜いてきたから、彼は独自の強さを身に着けていた。それは、彼の裡(うち)の一つ一つの悲しみを、新しい決意と変えて収穫することだった。
思えば涙するようなことが彼には多くあったけれど、決して喜びが少ないわけではなかった。
彼の喜びは、悲しみの後に、完全に彼をダメ人間にしてしまった風に見せかけて、突如(とつじょ)、何処からともなく湧いて出(いで)、いつのまにか、彼を新鮮な喜びで満たしているのだった。……
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