第29話 ブラックドック狩り4
ルイが取った作戦は、まず
ある程度の距離に近づくと、ルイはポーチからフラッシュバンとグレネードを取り出し、ブラックドックの群れ目掛けて投げ込む。
ルイ達の姿に気づいていないブラックドック達は不意打ちをくらい、フラッシュバンで耳目をやられ、グレネードの鉄片を受けて半壊する。
「総攻撃!!」
「よっしゃ!」
「やあああっ!!」
「このおおおっ!!」
「ドローン、やっちゃえ!」
ルイ、アステリオス、真里花、京子は手持ちの銃で、リコリスは自分が操作するパトローラーやドーベルマンに搭載した銃器で。
無数の弾幕に幼体成体関係なく蜂の巣にされてブラックドックの数は減らされていく。
「ワオオォォォン!!」
「きゃっ!?」
「ひっ!?」
だが、ブラックドックも一方的にやられているだけではなく、群れのリーダーである一際大きなブラックドックが雄叫びを上げると、真里花と京子が恐怖を覚えたのか身をすくめてその場にしゃがみこんで怯える。
「
ルイは二人が急に怯え出したのを見て、ブラックドックリーダーがスキルか魔法を使ったと予測する。
「ウオオオオンン!」
「ちっ、
ブラックドックリーダーがまた雄叫びを上げると、地面を削りながら衝撃波がルイ達に迫ってくる。
ルイは十字架を握って防御魔法を唱えて衝撃波を防ぐ。
「ルイ、サポートは頼んだぜ!」
「任せろ」
アステリオスは強化反射神経装置を起動して高速戦闘を開始する。
「ギャン!?」
「固いな、ランクD位の驚異度ってとこか? Eランク依頼だからあまり強い武器持ってこなかったぞ」
高速移動でブラックドックリーダーの側面に移動したアステリオスは銃を射つが、ブラックドックリーダーの体毛と皮膚に阻まれて軽症しか与えられない。
「ウオオオンッ!!」
「おっと!」
ブラックドックリーダーが反撃とばかりに衝撃波を放つが、強化反射神経装置が起動しているアステリオスは難なく回避する。
「ルイ、こいつに強化かけてくれ!」
「
アステリオスは銃を掲げてルイに向かって叫ぶと、ルイは十字架を握ってアステリオスの銃に強化魔法を付与する。
「おらっ!」
「ガアッ!? キャンキャン!!」
アステリオスはルイの魔法によって強化された銃弾をブラックドックリーダーに撃ち込む。
ブラックドックリーダーは銃が強化されているとは気づいておらず、先程と同じく毛皮で防ごうとしたが、後ろ右足を吹き飛ばされる。
「ワオオォォンンッ!!」
「そいつは効かねえんだよっ!!」
ブラックドックリーダーは苦し紛れに
「あばよ」
アステリオスはブラックドックリーダーの頭部に銃口を押し付けると引き金を引く。
銃声と共に柘榴のようにブラックドックリーダーの頭部が破裂し、肉片や血痕を撒き散らし、霧散化して魔石と毛皮だけが残る。
「お疲れ」
「おう、帰ったらこいつはメンテしないとな」
ブラックドックリーダーの魔石と毛皮を拾って戻ってくるアステリオスを労うルイ。
「ルイの魔法で強化するとガタが来やすいから気軽に使えないんだよね~」
カーゴドローンを操作して最初に倒したブラックドックの魔石を回収していたリコリスがそんなことを言う。
「ルイさんの魔法って便利そうですけど、デメリットってあるんですね」
「魔法を使うと精神に負担がかかるし、強化系はゲームみたいに単純に威力が上がるんじゃなくて、一時的に身体のリミット解除するようなものだからデメリットはある」
真里花がルイの魔法に関して感想を漏らすと、ルイは魔法のデメリットを教える。
「うーん、私もミスティックになるなら魔法系がいいな~。ドカーンと派手そうだし」
「言っておくが、魔法は魔法で覚えることが多いぞ。辞書一つ丸暗記するぐらいの覚悟はあるのか?」
「うえっ!? や、やっぱりスキルの方がいいかも、うん」
京子は自分が大魔法を使うことを想像しながらそんなことを言うが、ルイが魔法を使うのに必要な要素を伝えるとあははと笑ってごまかしながら魔法使いになるのを諦めた。
「さて、そろそろいい時間だ。それなりに倒したし戻るとするか」
「こんだけ間引けばモンスターもしばらくはおとなしくなるだろう」
ルイ達は
「私達のとこより強いのが出たのかな?」
「装備をよく見てみな、銃を持ってるやつは半分もいねえし、ちゃんとした防具すら着てねえ」
野戦病院のような惨状を見た京子がそんなことを言うがアステリオスは車から持ち出した缶ビールを飲みながら、怪我をしているエクスプローラー達を指差す。
アステリオスが指摘するようにほとんどのエクスプローラーがちゃんとした武器を持っておらず、防具も下手すれば装甲などなにもないただの衣服の人もいる。
「うわぁ………」
「私達も下手したらああなってたかもしれないんですよね」
アステリオスの指摘を受けて京子はドン引きし、真里花は初めてダンジョンに潜ろうとした自分達を思い出す。
「全員帰ってきたようじゃな?」
「大半のやつは二~三匹倒しただけで根をあげおって………まあ、一匹も倒さずピーチクパーチク騒ぐだけの役立たずよりはましか」
タウロはそう言って、エクスプローラー集団の一部を睨む。
タウロに睨まれたエクスプローラー達は居心地悪そうにうつむいたり、身を屈めて隠れようとする。
「あ、あいつら!」
「やめとけ、相手にするだけ時間の無駄だ」
タウロが睨んでいたのはルイ達にブラックドックの群れを押し付けて逃げたエクスプローラー達だった。
京子は自分達にモンスターを押し付けたエクスプローラーを見つけると一言文句を言ってやろうとするが、ルイに止められる。
「さて、約束通り報酬は払う。ギルドには送金しておいたから向こうで受け取るがいい。さ、さっさと帰ってくれ。いつまでも居座るとバンデッドとして扱わせてもらうぞ」
タウロはそう言うとエクスプローラー達の前から去っていく。
「なんか………感じ悪いですね」
「まあ
真里花はタウロの態度を見てムッとしたのかルイに話しかけ、ルイはそれが
「
「そりゃ
「水面下で
京子は
「ほらこないだ授業で習ったでしょ。ホープタウンと言う
「あー、そんな話があったような?」
(
真里花は小声で京子にホープタウンの悲劇について放す。
真里花と京子を除くルイ達はその話を聞いて何とも言えない顔になる。
ネオトウキョウ側はダンジョンモンスターによって住民は皆殺しにされていたと発表しているが、実際にはホープタウンで発生したダンジョンが資源型だった為に、そのダンジョン資源を独占するために
そういった事件があちこちで起きているため、ネオトウキョウの
とはいえ、お互い頼らないといけないところがあり、笑顔で右手で握手をして左手でナイフを隠し持ち、お互いの足を踏みあって牽制するそんな社会情勢になっている。
「仕事は終わったんだ。さっさと帰るぞ」
ルイは煙草に火をつけて一服すると、煙と共に
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